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水溶性ビタミンの最後の解説です

<葉酸>

ビタミンB群の仲間で 
正式名称は ビタミンB9 です

ビタミンB9と書かれたカード

腸管吸収され 
還元作用を受けて
テトラヒドロキシ葉酸に変換された形で
機能します

葉酸 テトラヒドロキシ葉酸の構造図

@働き

核酸合成 アミノ酸代謝に関与します

メチル基 ホルミル基などの
一炭素単位転移反応を触媒する酵素の
補酵素として働いて

プリン塩基 ピリミジン塩基の合成に関与することを示す図

この働きにより

DNAを作る核酸の原料となる
*プリン塩基
(アデニン・AMP グアニン・GMP)
*ピリミジン塩基
(シトシン・チミン・dTMP)

を合成します

前回説明したように 
この過程にはビタミンB12が作用して
ピリミジン塩基・チミンの合成を助けます

こうして核酸やタンパク質が合成されて
体を作る基本となる細胞の生産や再生が成されます

葉酸の

また 前回解説したように
ビタミンB12との協調作用により
赤血球の形成を助け

さらに
その活発な細胞分裂を助ける作用により
胎児の正常な発育に貢献しています

@多く含む食品

レバー 枝豆
モロヘイヤ ほうれん草 ブロッコリー
といった緑黄色野菜
いちご

などです

葉酸を多く含む食品についてまとめた図

@欠乏症

日本人の平均した摂取状況は十分量であることから
通常の食生活では
摂取不足による欠乏の心配はほとんどありません

葉酸はビタミンB12と協力して
赤血球を成熟させる働きがあるため
欠乏症ではビタミンB12不足の際と同様
巨赤芽球性貧血がみられます

欠乏で巨赤芽球性貧血が生じることを説明した図

また 妊娠初期の女性で欠乏すると
胎児に神経管閉鎖障害という
神経管の発育不全になるリスクが高まります

妊娠中の女性は
必要量が普段の2倍近くになることから
不足しやすいため積極的な摂取が望まれます

妊娠の際に積極的な摂取が必要であることをアピールする図

若い女性が
極端な食事制限によるダイエットで
葉酸不足になっていた場合
初期の妊娠に気づかないで
胎児へ悪影響を及ぼすことも
心配されています

ホモシステインからメチオニンへの
合成が滞るため
高ホモシステイン血症になり
動脈硬化を促進することも報告されています


葉酸不足で高ホモシステイン血症になり動脈硬化が促進することを示した図

逆に 葉酸が十分にあると
脳卒中や心筋梗塞などの
循環器疾患を防ぐことが
明らかにされています

葉酸不足のリスクについてまとめた図

@過剰症

通常の食生活では 
摂り過ぎによる過剰症はみられません

薬やサプリメントを上限量をこえて
大量摂取した場合は
神経障害 発熱 蕁麻疹などの過剰症がおこるとの
報告があります


<ビオチン>

ビタミンB群の仲間で ビタミンB7 とも呼ばれます

ビタミンB7と書かれたカード

@働き

TCA回路で働く
ピルビン酸カルボキシラーゼの
補酵素として
糖質代謝 糖新生をサポートし

脂質から脂肪酸への分解を促進し
脂肪酸のβ酸化に関わる
アセチルCoAカルボキシラーゼの
補酵素としても
脂質代謝をサポートします

脂質代謝に関与することを示す図

@欠乏症

腸内細菌叢により作られるので
通常の食生活で
不足することはありません

抗生剤の長期服用などで
腸内細菌叢に変化が起きた場合は
欠乏することがあり
脱毛 皮膚炎 けんたい感 食欲不振
などの症状が起こります

@過剰症

報告はありません


<ビタミンC・アスコルビン酸>

ビタミンB群に属さない
唯一の水溶性ビタミンです

@働き

強い還元能を有し 
抗酸化剤として働きます

抗酸化作用を発揮することを示す図

過酸化物質の生成を抑制し
抗酸化作用により老化やがんを抑えます

ビタミンEの項でも紹介しましたが

同様に抗酸化作用を有する
ビタミンEと協力し合って
抗酸化作用を発揮します

抗酸化作用を発揮したあとに
酸化型になったビタミンEが
ビタミンCにより
再び抗酸化作用を持つ還元型ビタミンEに
再生されるのです

ビタミンCとビタミンEの共同作用を示す図

ですから 繰り返しになりますが
ビタミンEとビタミンCは
同時に摂取した方が効果的です


ビタミンCとビタミンEの共同作用を示す図2

抗酸化作用以外にも

*コラーゲン合成に必要な
 4-ヒドロキシコラゲナーゼの
 酵素活性を維持する

コラーゲン合成に関与することを示す図

*鉄吸収の促進

といった作用も有しています

@多く含まれる食品

かんきつ類 イチゴ 野菜 いも などです

ビタミンCを多く含む食品についてまとめた図

水に溶けやすく 熱に弱いので
できるだけ新鮮なナマで食べるのがよく
洗いすぎたり ゆですぎたり
水にさらしすぎたりしないことが大切です

@欠乏症

壊血病が有名です

コラーゲンがつくれないため
細胞の間の結合がゆるむことで
起こります

血管や関節が弱くなることから
歯ぐきなど体の各所で出血したり 
関節が痛んだりします

また
抵抗力が下がって 
カゼなどの病気にかかりやすくなる
骨の発育が不十分になる
といったことも起こります

ビタミンC不足で壊血病になることを示した図

@過剰症

過剰に摂取しても
吸収率が低下し残りは尿から出てしまうため
一般的に有害な過剰症はないとされています

しかし 薬やサプリメントの摂り過ぎなどでは
吐き気 下痢 腹痛といった胃腸への影響が
報告されています

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