ビタミンB6 B12
中央区・内科・高橋医院の
健康のための栄養学に関する情報
さらに水溶性ビタミンの解説を続けます
<ビタミンB6>
@種類
*ピリドキサール
*ピリドキシン
*ピリドキサミン
の3種類があり
生体内で活性化され
リン酸化エステル型の
PL PN PM に変換されます
また
一部は体内で腸内細菌により作られています
他のビタミンの解説でも紹介したように
最近注目されている腸内細菌が
ビタミンを造るのは
興味深い現象です
@働き
リン酸化 脱リン酸化 酸化還元反応
などに関わる酵素の
補酵素として働きます
特に タンパク質の代謝をサポートします
タンパク質代謝に関わる
*アミノ基転移反応を触媒する
トランスアミナーゼ
*脱炭酸酵素
(カルボキシル基を取り除く)
などの補酵素として働き
*食事で摂ったタンパク質を
アミノ酸に分解し
*体内でアミノ酸から
タンパク質を作る
それぞれの過程に貢献します
タンパク質の摂取量が多くなると
B6の必要量が増えます
こうして
筋肉や血液などが作られる際に
働いています
*B1は糖質
*B2は脂質
*B6はタンパク質
三大栄養素の
それぞれの代謝に関わるビタミンB類が
B1 B2 B6と
うまく役割分担されているのは面白いですね
また 皮膚 粘膜の健康維持にも役立ちます
さらに
神経伝達物質
(セロトニン GABA ドーパミンなど)の
合成にも関与します
@ビタミンB6が多く含まれる食品
かつお まぐろなどの魚類 レバー 肉
などに多く含まれています
果実ではバナナに比較的多く含まれています
@欠乏症
湿しんなどの皮膚炎 口内炎
貧血
脳波の異常
などがおこります
ペラグラ様皮膚炎は特徴的な皮膚炎で
日光が当たる部分に
発赤 水疱 色素沈着などが起こります
また
末梢神経障害 眠気 倦怠感
も起こります
ビタミンB6は
腸内細菌によっても作られることから
一般的には不足しにくいのですが
長期間 抗生剤を飲んでいる人では
腸内細菌叢が乱れて
働きが悪くなってしまい
B6の産生が不足することがあるので
注意が必要です
@過剰症
通常の食生活では
とり過ぎになる心配はほとんどありません
<ビタミンB12・コバラミン>
ビタミンB12は 生体内では
補酵素として働く
メチルコバラミン アデノシルコバラミン
として存在します
@吸収の特徴
ビタミンB12の吸収過程は複雑で
まず 胃で
胃壁細胞から分泌される内因子と結合し
回腸末端部の受容体を介して吸収されます
ですから
手術で胃を切除した人は
ビタミンB12不足になりやすいので
注意が必要です
@働き
メチル基転移反応を触媒する酵素の
補酵素として働きます
この「メチル基転移反応」の代表例が
*貯蔵型のメチル葉酸からメチル基を奪って
活性型葉酸に変換し
*奪ったメチル基を
アミノ酸のホモシステインに転移して
メチオニンに変換する
という反応です
この反応で活性型となった葉酸は
DNAを構成する塩基のひとつである
チミンの合成を推し進めます
つまり ビタミンB12は
「葉酸からのDNA合成」を
アシストするわけです
これまで見てきたビタミンB群の
三大栄養素の代謝を促進する働きとは
少し趣が異なります
ちなみに
B12が働きかける葉酸は
次回説明するビタミンBメンバーの
ビタミンB9 です
一方で
ビタミンB12と葉酸は
骨髄内で赤血球が成熟していく過程を
協力して後押しします
このように
ビタミンB12と葉酸は
DNA合成 赤血球成熟といった
遺伝子や細胞の成り立ちを
協力して支えています
また
メチルコバラミンには
神経細胞を修復して
神経伝達をスムーズにする働きもあります
@ビタミンB12が多く含まれている食品
かきなどの魚介類や レバーなどに
多く含まれています
@欠乏症
代表的なのが 巨赤芽球性貧血 です
赤血球の成熟・ヘモグロビン形成が
上手くできず
酸素が運べない無用で巨大な赤血球に
なってしまうので
貧血になります
極端な偏食でなければ
ビタミンB12不足は
おこりにくいのですが
胃や腸を手術で切除した場合など
ビタミンB12の吸収が上手くいかない人
動物性食品をあまり食べない人
菜食主義の人では
不足する可能性があるため注意が必要です
肝臓に数年分の備蓄があるので
欠乏してから数年たって症状が出てきます
ものわすれ 末梢神経のしびれ 痛み
といった症状が見られることもあり
しびれの治療には
ビタミンB12製剤が投与されます
@過剰症
過剰に摂っても
必要以上には吸収されないので
とり過ぎになる心配はありません
高橋医院