ナイアシン パントテン酸
中央区・内科・高橋医院の
健康のための栄養学に関する情報
水溶性ビタミンの続きです
<ナイアシン>
ニコチン酸 ニコチンアミド の総称です
ビタミンBグループの一員で
正式名称は ビタミンB3 ですが
そう呼ばれることはほとんどありません
体内で
リボース リン酸 アデノシン と結合して
NAD NADP に変換されます
また
体内でアミノ酸のトリプトファンから合成されます
@働き
NAD NADPは
酸化還元酵素(脱水素酵素)の
補酵素として働きます
NAD NADPが補助する
酸化還元酵素は
解糖系やTCA回路における
種々の代謝反応に関わります
また
NAD NADPそのものが
ミトコンドリアでの電子伝達系では
呼吸鎖の複合体と電子をやり取りする役割を
果たしています
こうした働きにより
解糖系 TCA回路での
糖質 脂質 タンパク質の代謝から
電子伝達系での
エネルギー(ATP)産生に至るまで
200種類以上の
重要な生体反応に関わっています
また アルコール分解における
アルコール脱水素酵素
アルデヒド脱水素酵素
にも補酵素として働きサポートしています
さらに 皮膚や粘膜の健康維持も助けます
@多く含む食品
広く食品に含まれますが
特にレバー 魚 肉などに多く含まれています
これらの食品はタンパク質も豊富なため
生合成の原料となるトリプトファンも
同時に摂取できます
@欠乏症
ペラグラ皮膚炎 口舌炎 下痢 神経症状(痴呆)
などが起こります
ペラグラは
中南米など
トリプトファン含有量の少ない
とうもろこしを主食とし
他の食品をあまり食べない地域で見られましたが
日本で通常の食生活をする場合は
心配はほとんどありません
食欲がなくなり 消化不良 皮膚の発疹
なども起こります
@過剰症
通常の食事から過剰になることは
ほとんどありません
薬やサプリメントで誤って大量摂取すると
消化不良やひどい下痢などの消化器系の障害や
肝臓の障害などが起こることがあります
<パントテン酸>
パントテン酸の「パントテン」は
広くどこにも存在するという意味です
やはりビタミンBグループの一員で
正式名称は ビタミンB5 ですが
そう呼ばれることはほとんどありません
体内で
活性型補酵素A(コエンザイムA CoA)に
変換されます
@働き
コエンザイムAは
アセチル化酵素の補酵素として働きます
アセチル化酵素は
*糖質の解糖系
*脂質のβ酸化
*タンパク質の異化
といった三大栄養素の代謝反応を促進します
前回説明したビタミンB1 B2などと協力し合って
三大栄養素の代謝物をアセチルCoAに変換して
TCA回路に入れ
エネルギー産生を進ませます
糖質代謝では
解糖系により
グルコースから変換されたピルビン酸を
アセチルCoAに変換しTCA回路に入れ
脂質代謝では
脂肪酸をアシルCoAに変換し
アシルCoAはβ酸化によりアセチルCoAとなり
TCA回路に入ります
また
コレステロール ステロイドホルモン アセチルコリン
などの合成もサポートします
@多く含む食品
特に多いのは
レバー 納豆 さけ いわしなどの魚介類
肉類 卵などで
腸内細菌によっても合成されます
@欠乏症
成長障害 手足の知覚異常 頭痛や疲れなどが起こりますが
広く食品に含まれることから
通常の食生活で欠乏症は滅多にありません
@過剰症
過剰摂取による有害な影響は
ほとんど報告されていません
薬やサプリメントで大量に摂取した場合は
吐き気や食欲不振の報告もあるため注意が必要です
高橋医院