山口さんの著書では
アメリカ社会を席巻している
リベラル信仰の闇の部分を照らす論が
さらに深まっていきます

まず
こんなにも人種間の平等を説くリベラル信仰が
広く深く浸透しているのに
アメリカ社会では
差別の現状は何も変化していないという現実

が提示されます

白人と黒人が住む地域は分かれたままだし
実は結婚の96%は同じ人種同士で
白人と黒人のカップルといった
人種を超える結婚は非常に珍しいのだそうです

そうなのですね 知りませんでした


アメリカ社会は
人権問題 人種問題という爆弾を未だに抱えたまま
150年を超える歴史を生き続けているのです


そして

リベラルの不寛容性

が再度指摘されます

徹底したポリティカル・コレクトネスに見られるような
差別主義者は異教徒と見做し
どんな些細な差別も決して許さないという
かたくなな姿勢は
むしろ不寛容につながる感すらある

実は 
リベラル信仰に潜むこうした欺瞞と偽善が
皮肉にも 未だ社会から消え去らない差別の温存に
一役買ってしまっているのではないか?

ポリテイカルコレクトネスはコレクトではないと主張するポスター


コンサバ陣営の人達は
リベラル信仰こそが
黒人と白人の経済格差を維持する温床になっている
と批判しているそうです


ポリティカル・コレクトネス(PC)の
行き過ぎ

ついても議論されます

“レディ・ファースト”という表現すら
女性差別と見做されるような

差別用語という表面的な問題に
あまりにも過敏になりすぎている傾向があり

そうした過度のこだわり姿勢では
あらゆるものが言葉尻をとられ やり玉に挙げられ
どこか狂気じみていている

ポリテイカルコレクトネスは言葉狩りだと主張するポスター

PCは 表層部分に現れた差別を徹底的に排除し
見える差別をなくすことで
人々の意識を変えようとしたものだが

しかし 現在の行き過ぎたPCは
差別という深い事実を
単なる表現の問題に矮小化してしまい

うわべをきれいに取り繕うことで
確実に人の心に潜在する差別意識に
蓋をしてしまったのではないか?

ポリテイカルコレクトネスを揶揄するイラスト

いくら取り繕っても 建前を整えても
本音レベルでの差別がなくなるわけではない

むしろ 事実の本質に目を背けたまま
自己満足してしまっているのではないか?

自らの心の内に根深く潜んでいる差別と向き合うことを
リベラル信仰を奉ずる理想主義者たちは
拒否している?

リベラル信者のインテリ層は
実は自らの内面に存在する
白人優位の差別意識に後ろめたさを持っているので
それに蓋をしてごまかすために
熱狂的なリベラル信仰に走っている?

急進的なリベラル信仰を描いたイラスト

著者はさらに

リベラル信仰の理想主義の
鼻持ちならない傲慢さ

を指摘します

人種間の平等を
宗教の域にまで高めることにより
ヒトの間にある生来的な違いを
宗教的なタブーに格上げしてしまい
かえって建設的な議論ができなくなってしまった

そうした考え方の根底にあるのは
独善的なエリート思想
賢いリーダーが愚かな大衆を導くという
エリート主義的な発想
に他ならないと指摘します


リベラル信仰の独善的なエリート主義を非難するポスター

うーん なかなか面白いし
説得力がある論理の展開だと
書き手は思わずうなずいてしまいました

確かに 山口さんが指摘されるように
リベラルにも 
闇の部分があるのかもしれません
高橋医院