体重のセットポイント説は
既に何回か紹介されてきましたが

ダイエットについて考えるうえで
とても重要なコンセプトと言えると思います

書き手も読んでいて ”目から鱗” でした!

大事な点なので 
もういちど 詳しく説明させてください

セットポイント説について説明するポスター

<体重 脂肪量を一定に保つ反応>

人の体には 
体重 脂肪量を一定に保つために
短期的にも長期的にも 
摂取カロリー 消費カロリーを
調整するシステムがあります

摂取 消費カロリー量に関係なく
体の維持に必要な脂肪量が
一定範囲内に保たれているのです

このシステムにより
代謝の状態が規定され 
長期的に維持される体重の値が決まり
食べる量 消費カロリー 
体脂肪量が
調節されるのです

つまり

多く食べれば体は反応して
・代謝を上げて 
・食欲を下げ 
・多くエネルギーを燃やすので
体重は増えない

少なく食べれば
・代謝を下げて 
・食欲を上げ 
・エネルギー消費を少なくするので
体重は減らない

体重が増減した際に体内で起こるセットポイント反応について説明した図

いくらカロリー計算して食事をしても
体が有するセットポイントを保つ反応には 
勝てないのです

そしてカロリー制限していると
体が上記のような
節約モードになっているので
ダイエットを止めて普通の食事に戻すと 
ダイエットをする前以上に太ってしまう

これがリバウンドです


<セットポイントは 脳内でのホルモンの働きにより規定される>

インスリン レプチン 
セロトニン グレリンなどの
種々のホルモンが視床下部に作用して
セットポイントを決めています

@インスリン

これまでに何度も説明したように
脂肪組織で糖質を脂肪に変換し
脂質を分解するリパーゼの働きに影響して
脂肪の蓄積量 消費量を規定します


レプチン

食欲 エネルギー消費量に影響し
*食べる量 
*燃焼するエネルギー量 
*体脂肪量
を規定します

レプチンによる食欲 体重のコントロールを解説する図


<セットポイントの設定異常により太る>

@肥満な人はセットポイントが上がっている

質の悪い食物を食べると
インスリン抵抗性 レプチン抵抗性が生じ
 
それぞれのホルモンが 過剰生産されるようになり
ホルモンバランスが崩れて 

セットポイントが上がり
体は脂肪を貯めこもうとするので 
肥満が誘導されるのです

肥満の人は 
セットポインが上がった状態で
安定してしまっています

肥満の人はセットポイントが上がっていることを示す図

また 加齢によるホルモン変化も
セットポイントを変化させ
これが歳をとると体重が増える理由です

ちなみに 
セットポイントの値は 人により異なります


@セットポイントへの食事の影響

人は20世紀半ばまでは
低いセットポイントを維持できる食物を
食べていましたが

それ以降は 
不適切な食物の摂取により
セットポイントが上がり 
体脂肪の多い状態 肥満が起こってきました

加工食品を食べると 
ホルモンバランスが崩れ
セットポイントが上がります

逆に良質な野菜と動物性食品の摂取により 
ホルモンが調整され
セットポイントが下がるのです

食事内容によりセットポイントが上下することを示す図


@セットポイントの設定異常の改善方法

ということで
長期的に体重を減らすためには 
セットポイントを下げればよいのです

セットポイントを下げれば体重が減ることを示す図

食事と運動の質を上げれば 
ホルモンバランスが改善して
セットポイントが下がり
脂肪を貯めこまなくなります

例えば 
ω3不飽和脂肪酸を含む自然食品の摂取により
セットポイントを上げる脳内の炎症を抑えられ
インスリン感受性も取り戻せると
報告されています

カロリーの「量でなく質」が
セットポイントの改善により 
長期的な体重を改善させるのです


また 筋トレなどの無酸素運動は
セットポイントを下げると
報告されています


では 
セットポイントを改善させる食事とは
どんなものなのでしょう?


ひふみんのニャンぶらりの宣伝写真

高橋医院