次は 
体重のセットポイント
ホメオスタシス理論

これもお馴染みですが 
やはり大事な論点なので復習しましょう

<体重のセットポイント>

ヒトの体では 
そのヒトなりの体重の設定値が定められていて

体重が増減すると
その変化を最小限にとどまらせる
ホメオスタシスシステムが働く

体重管理のホメオスタシスシステムの説明図

そのシステムの反応により
摂取カロリーを減らすと 
消費カロリーも基礎代謝率も減るので
結局 体重は減らない

ホメオスタシスシステムにより体重が維持されることを示す図

そして 
ダイエットをあきらめて
摂取カロリー量をもとに戻すと
代謝によるカロリー消費は落ちているので
あっという間に
前より太ってしまうリバウンドが起こる

つまり 
カロリー制限をしても体重は減らない

摂取カロリーの増加と体重増加は 
なんら相関関係がない
脂質の増加とも関係はない


大分 馴染んできましたか?(笑)


問題なのは 
肥満では 
この体重設定値が高くなっていること

肥満では体重設定値が高くなっていることを示す図

通常は 視床下部において
代謝や食欲に関連する
さまざまなホルモンのバランスにより
設定値が決められているが

このホルモンバランスが崩れると 
設定値が高くなり肥満が生じる

肥満では
インスリン抵抗性 レプチン抵抗性が見られ
これらが設定値を高くしている

また 加齢により
体重設定値は徐々に上がっていく


<インスリンが体重設定値を操作する>

インスリンは
レプチン抵抗性などの
ホルモンバランスの異常を引き起こし
体重設定値を上げてしまう

インスリンが体重設定値を上げることを示す図

ということは
インスリン分泌を抑えられれば 
体重設定値を下げることができ
他の肥満を誘導する反応も抑制できるので
肥満を改善することができる

インスリン分泌の制御により肥満が改善できることを示す図


<カロリーは同じではない>

では 
インスリン分泌を抑えるには 
どんな食事をすればいいのでしょう?

ここで登場するのが これもお馴染みになった

全てのカロリーは同じでなく
食物の質により
脂肪蓄積や体重増加の度合いが
規定される

というコンセプトです


食物のカロリーが同じであっても
栄養素により 
刺激されるホルモン・代謝酵素が異なるから

食物の質により
体内で引き起こされる
代謝反応やホルモン反応の模様が異なり
脂肪の蓄積 体重増加が変わってくる

このコンセプトにも
大分馴染んできたというか
飽きてきましたか?(笑)


<インスリン分泌を増やすのは炭水化物>

@砂糖は太る

砂糖はインスリンを分泌させ
何年も何十年もかけて 
インスリン抵抗性を誘導してヒトを太らせる

加糖飲料はダメ
他の精製炭水化物より 
はるかに太りやすく糖尿病にもなりやすい

白いパンはダメ
食べるとすぐに血糖値が上がり 
加糖飲料と同じくらい血糖値が上がる


@果糖はダメ

人工甘味料の果糖ブドウ糖液糖の
55%は果糖で
果糖ブドウ糖液糖は 
あらゆる加工食品に含まれていて
現代では 総摂取カロリーの9%を占め 
若者は1日に73gも摂っている

果糖はブドウ糖より
はるかに肥満や糖尿病の原因になりやすい

果糖を代謝できるのは
肝臓だけなので
過剰な果糖は肝臓で
脂肪として蓄積され脂肪肝になり
インスリン抵抗性を引き起こす


@人工甘味料もよくない

アスパルテーム ステビア
血糖値は上げないがインスリンは上げて
体重増加の傾向がとても高く
肥満リスクを47%も高め
心血管イベントリスクを43%高め 
メタボリスクを34%高める


@炭水化物の「善玉・悪玉」を区別する

炭水化物には

*良い炭水化物 
(食物繊維 加工されていない果物や野菜など)

*悪い炭水化物 
(砂糖 精製果糖 精製された炭水化物など)

がある

悪い炭水化物はGI値が高く 
血糖値やインスリンを急上昇させる

精製された炭水化物は
健康に有用な食物繊維や脂質が除去されるので
早く消化され吸収され 食べ過ぎてしまう

一方 
良い炭水化物の代表の食物繊維
炭水化物の吸収を遅らせて 
血糖値 インスリンの上昇を緩やかにするし
満腹感を増すので 
太りにくく糖尿病になりにくい

良い炭水化物の未精製穀物は 茶色 
(玄米 五穀米 全粒粉パン ライ麦パンなど)

玄米の写真
ライ麦パンの写真

悪い炭水化物の精製穀物は 白色 
(白米 白い食パンなど)

炭水化物を食べるなら 白より茶色!

ということです


高橋医院