脳をだませばやせられる1:ハングリーな脳
世界のダイエット本の紹介 7冊目 ステファンJギエネさんという 肥満 代謝 食生活に 関心を持つアメリカ人医療ジャーナリストが The hungry brain というタイトルで2017に書かかれ 2018年に 脳をだませばやせられる という翻訳本が出ました 神経生物学の研究をされていたため 脳に関する記述が多いのが この本の特徴です <ミスマッチ説> まず すっかりお約束となった 肥満の原因としての「ミスマッチ説」 自分の体重を管理できる というのは誤解で より多くのエネルギーを 効率よく得るために食べる本能は 人間が生き残り 繁栄し 子孫を残すために 進化の過程で獲得した 無意識で衝動的なもので カロリーの高い加工食品 ファストフード 外食が多い飽食な現代では その本能が邪魔になる と前ふりをします <悪い食べ物> そして 現代のワルモノ食品たち *果糖液 *工業的に作られた油脂 *人の食欲報酬系を過度に刺激する 高濃度の糖質と脂質を含む加工食品 *アイアスクリーム チョコレート クッキー ケーキ *人の食の嗜好を 強く引き付けるように作られている 圧倒されるほどバラエテイ豊かな 商業化された食品 *手づかみで食べられる 安いファストフード などをこきおろします そして「脳をだませば」と タイトルに書いてあるだけあって 食欲と脳の話を詳しく展開します <食欲はなぜ生じるか?> 脳内で起こる 食欲に関する意思決定のプロセスは ほとんどが無意識に行われる 腹側線条体でのドーパミン分泌が 無意識の食欲を規定し これは学習により増強される 糖質 デンプンの摂取により ドーパミン分泌は急増し その食物の味と匂いを好むようになり カロリーが高いほど その反応は強くなる こうした食物は その昔 ヒトが自然界で生き残り繁殖するために 欠かせない食べ物だったので 脂肪 炭水化物の組合せが ドーパミンを分泌させ 食欲を増強させるのである だから ヒトが先天的に好きな食物は *カロリーが高い *脂肪 炭水化物 タンパク質が多い *甘い 塩辛い *肉のようなうま味がある ものが多く 意志の力では この衝動をコントロールできない <依存> ドーパミンが出過ぎると 依存が生じて喜びに結びつくので ダメとわかっていても 必要以上に食べてしまい 過食 体重増加が導かれてしまう 依存については 以前に解説しましたので そちらも参照してください 現代の加工食品に多く含まれる成分 糖質 精製炭水化物 油脂(バター ラード マーガリン) 塩 カフェイン などは 高率に依存をひき起こす 肥満の人は 食物がもたらす報酬により敏感で 特に甘いものにより敏感で 食べる量も多くなるが これは 肥満の原因か結果か 明らかにされていない 食への意欲 食物報酬への感度の高さは 人により異なるが 長期に及ぶ体重増加に影響し 食べ過ぎ 脂肪増加の一因となる 多くのヒトは まわりに魅力的な食物があると ついつい食べてしまう 脳は 将来の肥満の回避といった 理性的な判断を捨てて 目の前の美味しいものを食べる判断をしてしまう それは進化上有益だったので仕方がないが 飽食な時代には悩ましい しかし 理性的判断や将来の価値の尊重が出来る人は 肥満になりにくいし 食の依存にもなりにくい ドーパミンやエンドルフィンだけでは 説明しきれない面もあります
高橋医院