欧米で出版された
ダイエット本を読みまくりしましたが

そこで主張されてきたことは
白人とは体質が異なる日本人にも
当てはまるのでしょうか?

そうした疑問に答えてくれる
日本人に向くダイエットについて
書かれた本もあります


日本人の「体質」

日本人の「体質」の表紙

「日本人の体質」研究でわかる長寿の習慣

「日本人の体質」研究でわかる長寿の習慣 の表紙

長年 健康診断に関わって来られた
奥田昌子先生が
2016 2018年に書かれました


同じ病気でも 国 人種により
発症率 原因 症状が異なることは
明らかである

全遺伝子解析で判明した
日本人の遺伝子変異は2100万カ所あるけれど
このうち白人でも認められるのは1100万カ所で
日本人が有する遺伝子変異の半分は 
日本人特有のものである

だから 
白人と異なる日本人の体質について
考えなければならない

このような背景から
奥田先生は次のように語られます


<日本人の体質>

日本人は 
下記に示すような特徴的な体質を有しているので
肥満やダイエットに関しては
これらの点を考慮しなければなりません

*簡単に筋肉がつかない

*内臓脂肪がつきやすい

*アルコール分解能力が弱い

*腸内細菌叢が異なる

*脂肪 タンパク質の消化吸収能力が低い



肥満 ダイエットについて考えるときは
以下の諸点が問題になります

<軽度肥満でも糖尿病になってしまう>

以前に解説しましたが
日本人はインスリン分泌量が少なく
白人の1/2~1/4ほどしかありません

日本人はインスリン分泌量が少ないことを示す図

土壌が肥沃で炭水化物を豊富に摂取できる
食環境だったので
ブドウ糖を大量に蓄えておく必要がなく
インスリン分泌量も少なくて
大丈夫だったためと考えられます


日本人の糖尿病患者では
800カ所以上の遺伝子の
エピジェネテイクス変化が起こっていて

そのうちの100カ所以上で
インスリン分泌低下につながる遺伝子作用の
変化が見られます

こうした事実も 
日本人のインスリン低分泌を裏付けています


一方 欧米人は逆で
肉と脂肪が中心の食生活で
炭水化物は貴重なので
インスリンをしっかり分泌して糖を吸収し
エネルギーとして保存しやすい体質に
なったと思われます

彼等は 脂肪を大量に摂取し
糖を脂肪に変えて蓄積するので
太りやすいのですが

しかし脂肪の処理に優れ
摂りすぎた脂肪を
内臓脂肪でなく皮下脂肪として貯えるので
肥満の問題がおきにくいのです

内臓脂肪と皮下脂肪の差異を示す図

<内臓脂肪が貯まりやすい>

日本人は
脂肪摂取が少ない食生活を送ってきたので
皮下脂肪を貯める能力が発達せず
脂肪を摂りすぎると
内臓脂肪として貯めてしまいます

日本人は内臓脂肪が溜まりやすいことを示すグラフ

日本人は肥満に見えなくても 
内臓脂肪量が多く
ウエスト100cmのアメリカ人と
85cmの日本人の
内臓脂肪量は同じなのです

つまり日本人は
欧米人のように見るからにデップリ
という体型の人はそれほど多くありませんが
実は内臓脂肪が溜まっている人が多い


既に説明したように
内臓脂肪悪玉アデイポカインを産生しやすく
そのため慢性炎症が起こしやすくなり
それが生活習慣病の発症につながるので
こうした日本人の体質は厄介です


では どうすれば良いのでしょう?
次回に具体的な対策を紹介します
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