ストレッサーが降りかかってくると

体はそれに対して
ストレス反応を起こします

ストレッサーによるストレス反応の誘起を説明する図

ストレス反応は
ストレッサーにより誘起される 
一連の非特異的身体反応

もともとは
外敵に対応 抵抗するために
素早く 戦う 逃げる 
ための反応でした

ストレッサーの種類に関わりなく 
共通した反応が起こり
そのほとんどは 
時間経過とともに消失します


<ストレス反応の経過>

@警告反応期

ストレスを受けて すぐに起こる反応です

*ショック相・受動的反応期

自律神経のバランスが崩れて
心拍数 血圧 体温 血糖値が低下し
筋緊張が弛緩します

*能動的反応期

ストレスに適応すべく
生体防御反応が本格的に発動されます


@抵抗期

持続するストレッサーと 
それに抵抗する力が拮抗し
生体防御反応が安定している時期
維持のためにエネルギーが必要になります

この時期には
ストレスを紛らわすために 
嗜癖的行動がなされます

アルコール 薬物 
ギャンブル 買い物 セックス ゲーム
などへの依存も起きます

こうした反応は
気持ちを紛らわせて安定させる
防御反応的な側面を持っています


@疲弊期

さらに時間が経過すると
抵抗力 生命力が落ちてきて
ストレス障害 適応障害 うつ病 心身症
などがみられるようになります

ストレス反応の経過を示す図


<脳での反応>

ストレスを感じると
まず脳内で反応が起こります

五感を介して
末梢の感覚神経でストレッサーを感知すると
その情報が大脳皮質に送られ
情報は
扁桃体などの辺縁系で処理され
視床下部に伝わります


@扁桃体

*最初に扁桃体が 
 イライラ 怒りなどのネガティブな情報を感知して
 視床下部に情報を伝えます

ストレスによる扁桃体の活性化を示す図

扁桃体は
 ストレス反応の引き金
 ここでの反応が大きいほど
 その後に起こるストレス反応も大きくなります

*スマホやパソコンも 扁桃体を刺激します

*現代都市生活者の刺激の多い日常は
 常に扁桃体が活性化された状態にさせるので
 ストレス反応を拡大してしまいます

現代生活では常に扁桃体が活性化されていることを示すグラフ


@視床下部
扁桃体から情報を得た視床下部から

*副腎などの内分泌臓器交感神経

に刺激がでて 身体反応が現れてきます

扁桃体から視床下部への情報伝達を示す図
視床下部から副腎 交感神経への情報伝達を示す図


<内分泌反応>

@グルココルチコイド分泌の3段階調節

*視床下部から下垂体
 CRH:副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され
 
*下垂体は反応して
 ACTH:副腎皮質刺激ホルモンを分泌し
副腎皮質は反応して肥大し
 グルココルチコイドを分泌します

一方 CRHの
黄体刺激ホルモン放出ホルモン・LHRHの分泌抑制作用により
精巣 卵巣の萎縮が見られます

グルココルチコイド分泌の3段階調節を示す図


@グルココルチコイドの多面的な作用

*脂肪 タンパクを分解して 血糖値を上昇させ
 エネルギー源の確保を行います

*非常用エネルギーとしては
 グリコーゲンよりも脂肪の方が
 軽くて長期保存に適し使いやすいという特徴があります

*胸腺 脾臓の萎縮が見られ 免疫抑制がおこります
炎症を抑えます

ストレスがかかった生体にとっては
エネルギー源確保が最優先事項なので
それ以外の機能は全て抑制されます

何かを耐え忍ぶ状態を継続する
「我慢するストレス」の際に
グルココルチコイドが大量に分泌されますが

グルココルチコイドが過剰分泌されると
海馬の神経細胞が破壊され萎縮し
PTSDやうつ病が起こってきます


<神経系反応>

@自律神経への影響

扁桃体からの危険シグナルは 自律神経にも影響し
視床下部も 自律神経に作用します

自律神経への影響を示す図


@交感神経系の優位

ストレスが強い状況下では
交感神経から副交感神経へのスイッチがうまくいかず
交感神経の緊張が持続して
肩こり 便秘 高血圧などが起こります

交感神経系の優位を示す図


@アドレナリンの分泌

*交感神経が緊張すると
 その末端からノルアドレナリンが分泌され

*交感神経は副腎髄質に作用して
 アドレナリンを分泌させます

アドレナリンの分泌 作用を示す図


アドレナリンの作用により

*心拍数 血圧 体温が上昇する

*肝臓 筋肉のグリコーゲンを分解して
 血糖値を上げる

*消化管の働きは抑える

といった現象が起こります

心拍数 血圧 体温を上昇させ
血糖値を上げるのは
まさにストレスから身を守るための反応です

こうした反応に全エネルギーを集中させるため
消化で使用されるエネルギーをセーブする目的で
消化管の働きが抑制され
それにともない食欲も抑えられます

緊急時は食べている場合じゃない!
ということです(笑)

 

高橋医院