食の起源

第3話のテーマは「脂」です
脂をテーマにした番組の宣伝ポスター” width=

脂には 健康に良い脂と悪い脂がある 
というお話でした

<体に良いオメガ3脂肪酸>

@エスキモーに心臓病が少ない理由

この話題は以前にもご紹介したことがありますが
エスキモーのイヌイット
摂取カロリーの70%が脂ですが
心臓病になるリスクは他の国の人より少ないのです

イヌイットが食べている脂のほとんどが オメガ3脂肪酸
その摂取量は1日に14gで
日本人の10倍近くの量を摂取しています
彼等が日常的に食べているのは
アザラシ クジラ シロイルカの脂身
シロクマの肉などです

このオメガ3脂肪酸を多く含む脂が
心臓病のリスクを減らします

@オメガ3脂肪酸 
オメガ3脂肪酸は 細胞膜の原料になります 
曲がった形・構造をしているので
細胞膜を柔軟に変形しやすくできるために 
細胞が柔軟になり

オメガ3脂肪酸が細胞膜の原料となり 細胞膜を柔軟に変形しやすくできることを説明する図

 
そうすると血管はしなやかに伸縮しやすくなり 
血液循環が穏やかに保たれ動脈硬化や心臓病になりにくい


一方 オメガ3脂肪酸は
脳の神経細胞を作る材料にも使われていて
神経細胞が柔軟だと
神経細胞同士が互いに変形してつながりあえるので

オメガ3脂肪酸は脳の神経細部を柔軟にすることを示す図

高度な情報ネットワークが生み出せる   

だからオメガ3脂肪酸は  認知症予防などにも関与してきます


@オメガ3脂肪酸が多い食材 

オメガ3脂肪酸は
マグロのトロ イワシ サンマ サバなどの魚介類の
脂ののった部位に多く存在します

 魚介類の脂ののった部位にオメガ3脂肪酸が多いことを説明する図  

EPA DHA  
最近 こうしたワードを耳にすることが多いでしょう
 
EPA DHAが青魚に多いことを説明する図 

アマニ油 エゴマ油に含まれるαリノレン酸は 
体内でDHA EPAに変換されますが
変換効率は5~10%ほどですから
DHA EPAを直接摂った方が効果的です 

また タンパク質と一緒に摂ると胆汁が分泌されて
オメガ3脂肪酸の吸収率が良くなります

また サプリを服用するより
魚介類を食べて摂る方が 吸収率が良いです


@オメガ3脂肪酸の食物連鎖

藻は オメガ3脂肪酸を生み出す遺伝子を持っています
ヒトの祖先も オメガ3脂肪酸を生み出す遺伝子を持っていましたが
オメガ3脂肪酸を含む海藻などを食べ始めると
その遺伝子が消えてしまいました

海の中では 食物連鎖の上の方にいる強い生き物ほど
たくさんのオメガ3脂肪酸を下の方にいる生き物から手に入れ
さらに強くなっていったのです

現代の海の中でも マグロのような強い魚は
他の小さな魚をたくさん食べて 多くのオメガ3脂肪酸を蓄えています

そして そのマグロや青魚をヒトが食べる
まさに食物連鎖の頂点にいるわけです 

ヒトはオメガ3脂肪酸の食物連鎖の頂点にいることを示す図


@脳に影響するオメガ3脂肪酸

ヒトの祖先が 海の幸をたくさん食べて
オメガ3脂肪酸をたくさん摂るようになると
脳が発達して高度な知性 文化が 急速に芽生え始めました 

オメガ3脂肪酸が脳の発達に重要なことを示す図


また 私たちの脳は母親の胎内にいるころから
脳を形作る材料として
大量にオメガ3脂肪酸を必要としています

生後 与えられる母乳にも
母親の体に蓄えられたオメガ3脂肪酸が
たくさん溶け込んでいるのです

こうしてヒトは
親から子へとオメガ3脂肪酸を受け継ぎ
命と知性を育み続けています 


この番組で紹介された
EPA DHAなどの「善玉」脂のオメガ3脂肪酸については
既に「世間の常識」といった感もあり

そういう意味では 番組の内容にすんなり溶け込め
逆に目新しさに欠ける感もありましたが

今回の番組では 神経や脳への影響を多く解説していて
オメガ3脂肪酸の新たな一面を認識できて
その点がとても勉強になりました

高橋医院