日本内科学会のシンポジウム

ついで お馴染みの西浦先生
第1波 第2波の疫学データの分析について
報告されました

西浦先生の講演のタイトルスライド

<第1波 第2波の疫学データの分析>

@これまでとられてきた流行対策

*2月下旬から4月初めまでは クラスター対策

*4月8日以降は 緊急事態宣言下で接触を減らす

*現在は 新しい生活様式と改善版のクラスター対策

が行われています

これまでとられてきた流行対策についてまとめた図

その結果
80%の人は
誰にも感染させないことが示されましたが
20%の人は
クラスターを形成させるリスクがあることが
わかりました

20%の人がクラスターを形成することを示した図


@クラスターが発生し得る場所

ライブハウス
夜の接待飲食店
居酒屋
フィットネスジム 屋内運動施設
医療施設 福祉施設
などで

クラスターが発生し得る場所について説明した図

3密が起こる場所

*換気の悪い密閉空間

*多数の人が集まる密集場所

*近接して会話 発声をする密接場面

でクラスターが発生しやすいので

行動変容により
こうした場所を避けるようにすることが
大切である
と強調されます

3密が起こる場所を避けることの重要性を示す図


@感染の推移

3月のヨーロッパからの帰国者により
第1波の感染流行が起こり
4月の緊急事態宣言でいったん鎮静化した

5月に解除されてから
再び感染者数 実行再生産数も増えている

感染者数 実行再生産数の時間的推移を示すグラフ


反省すべき点は
海外では実行再生産数が1を超えると
接触の再制限が行われたが
日本ではそれが行われなかったので
5月以降の再増加につながっている可能性があること
だそうですが

書き手はニュージーランドで8月中旬に
100日ぶりに感染者が出たときに
政府が躊躇せずに間髪入れず
ロックダウンを再開したことを
思いだしました

それでスーパーラグビーの最終戦が
中止になってしまいましたが
そこまでスパッとやらないといけないのですね

ちょっと驚きました


で 現在は
感染者数は増加しているが
実行再生産数は
東京では1.2~1.4程度と 落ち着いてきているそうです

東京での最近の実行再生産数の経時的推移を示すグラフ

どうして実行再生産数が落ち着いてきたのか
その点について質問したいと思いました


最後に まとめと今後の展望を述べられました

@まとめ

接触を削減できると
制御が可能であることは明らかだが
それにともなう経済インパクトが問題となる

まとめのスライド

クラスターが起きやすい特定の場所があり
それらは
接待飲食業・飲食業 病院・施設などである

実行再生産数を1未満にできる
流行対策のコンビネーションの検索が
今後は求められる


@再流行対策のポイント

居酒屋 夜間接待飲食業での接触を
どのように社会全体でサポートしながら防いでいくか

海外からの移入にどう対処するか

旅行などの移動と大規模イベントとどう付き合っていくか



大きな悩ましい問題が控えていますね



3番目の演題では
防衛医大の川名先生
臨床と感染対策についてご講演されました

川名先生の講演のタイトルスライド

<臨床と感染対策>

@新型コロナウイルスの感染の特徴

潜伏期間は2~7日
発症から入院までの期間が3~9日で
緩徐に進行していく

感染経路は 飛沫 接触 エアロゾルで
エアロゾル感染を防ぐために3密の回避が重要で
ヒトが密集する不適切な換気の閉鎖室内は危ないこと
十二分に認識すべきである

新型コロナウイルスの感染の特徴をまとめた図


また
感染の48~62%は未発症者からの感染で
発症前の潜伏期間でのウイルス排泄が多く
他の人に感染させ得る期間は
発症前から発症5日後までと考えられる

ウイルスが排泄される期間を示す図

ここが このウイルスのいちばん厄介な点ですね!
感染の制御が 本当に難しい


@臨床像

患者数は
20歳代が最多で 加齢とともに漸減し
入院患者の74~86%は50歳以上

軽症が80%ほどで 死亡は2%ほど

臨床像を示す図

死亡率は60歳代から急に増加し
80歳以上の致死率は26.9%にまで達する

高齢者の高い死亡率を示すグラフ

症状は
発熱 咳嗽 全身倦怠感 咽頭痛 鼻汁 頭痛などで
嗅覚 味覚障害も認められる

臨床症状の出現頻度を示すグラフ


@重症度

軽症は
血中酸素飽和度が96%以上で
呼吸器症状はなく 咳のみで息切れはなく
多くが自然に軽快する

中等症は
血中酸素飽和度が96%未満で
息切れ 肺炎所見があり
入院の上 慎重に観察することが必要となる

特に 血中酸素飽和度が93%以下だと
酸素投与が必要で要注意

重症度分類を示す図表


当院でも
新型コロナウイルス感染が疑われる患者さんには
必ず血中酸素飽和度を測定して
判断の目安にしています


@重症化のリスク要因

高齢に加え
CKD COPD 重症心臓病
肥満 2型糖尿病
などがあげられる

リスク要因をまとめた図表


こうしたことは
今やコンセンサスとして社会全体で
認識されるようになっています


高橋医院