砂糖中毒
中央区・内科・高橋医院の 健康のための栄養学に関する情報 でも ヒトはどうして 知らぬ間に砂糖を求めてしまうのでしょう? その理由には 社会的要因と 心理的要因があるようです 社会的要因は 脂肪悪玉説の裏返しです 以前にも説明しましたが 戦後 アメリカで 肥満や心臓病の患者さんが急増し その原因を 食生活に求める多くの研究がなされました そして それらの結果 脂肪が犯人とされました 脂肪をたくさん摂るから 太る 脂肪をたくさん摂るから 心臓病になる だから 脂肪がワルモノで 低脂肪な食事こそ重要だ こうしたメッセージは 砂糖の危険性を覆い隠してしまいました 脂肪さえ減らしておけば 砂糖はいくら入っても大丈夫 むしろ低脂肪によるカロリー低下を 砂糖で補おうとすらしたのです だからアメリカでは ガイドラインで 食事の脂質制限を始めてから 肥満や糖尿病の患者さんが 増加し始めたのです 現在のアメリカでは こうした事実が理解され 食事からの脂質摂取の制限が廃止され 代わりに糖質の制限が 厳しく行われるようになっています 脂肪が太らせるのではない 砂糖が太らせるのだ! この点については 稿を改めて詳しく解説します さて 厄介なのは 心理的要因です だって 強い意志をもってしても なかなか本能には抗えませんから、、、 以前 太古の昔のご先祖様は 食物に恵まれていなかったので 粗食に耐えられる体質を作り上げて その体質を受継いだ現代人が 飽食の時代に生きるようになったので 肥満や生活習慣病になりやすくなっていることを 説明しましたが 糖を求める本能も 太古の昔に形成され 今に引き継がれていると考えられます 脳はエネルギー源として 糖を要求しますし (糖質ダイエット原理主義者の方は 異論を唱える方もおられますが) 昔は 糖はとても貴重なものでした 今のように 精製された白砂糖が コンビニで容易に入手できる環境とは大違い ですから ヒトは糖を求めるようになり 砂糖を食べると 幸福感を感じるようになったのです ここが 非常に厄介な点です 砂糖を食べると 脳内でエンドルフィン ドーパミンなどが分泌され 幸せな気分になり ニコチン コカインを摂取したときと同様に 脳の報酬系が刺激されます そうすると 依存性が形成されてしまう 砂糖を食べたあとの多幸感は 持続しないので さらなる多幸感が得られるように さらに多くの砂糖を摂るようになり あればあるだけ 食べるようになってしまう 砂糖中毒です 砂糖への依存性は コカインより大きいとも言われています このように 依存性を形成してしまう砂糖ですが 精神面に与える ポジテイブな効果もあるようです つまり 砂糖を摂ることにより 心が穏やかになり 他人に当たり散らしたり かっとなって怒鳴ったりといった 衝動的な行動が抑えられる 血中のグルコース濃度を上げると 脳にエネルギーが提供されるため 自制することができるようになるためと 考えられています 中毒にならない程度の適切な摂り方だったら 砂糖は有用なのです ということで ヒトが砂糖を欲する原因について説明しましたが 映画で描かれていた 砂糖中毒 の指摘は とても印象的でした コカインより依存性が強いなんて 想像したことすらありませんでした 確かに 無性に甘いものを食べたくなる衝動や 食べ始めたら次々に食べてしまう衝動は 読み手の中にも 経験された方がおられるかもしれません 糖尿病の患者さんからも そうしたお話をうかがうことが 少なくありませんし どうしたら そうした衝動を抑えられるか? と聞かれることもあります 本能との戦いは 困難なものですが でも タバコも薬物も 依存性・中毒性があるものからの離脱は 最終的には 本人の意志の力に依らざるを得ないと思います 砂糖中毒に悩まれている方は 是非 頑張っていただきたいものです
高橋医院