さて いよいよ
この本のユニークな論点が
展開されます


<脂肪細胞の活性化を抑える>

摂取した食物が
脂肪細胞にどのような影響を及ぼすかが
ポイントである

脂肪細胞の活性化を抑えることが記されたページの写真

インスリンが脂肪を貯めさせるので
インスリン量が多いと体重は増加する

急激な高インスリン血症により
脂肪細胞は過剰に刺激されて
錯乱状態になり

暴れはじめた脂肪細胞が
代謝の主導権を握り
システムはめちゃくちゃになる


脂肪細胞自身は
カロリーを貯めこんで増殖していき

脂肪が増え続けると
内部で慢性炎症が起こり
インスリン抵抗性が起こってくる


また 脂肪以外の体の残りの部分は
むしろ空腹状態になり
エネルギー保存のために低代謝状態になる

やがて脂肪細胞が
取り込めるカロリー用量がオーバーして
カロリーを摂りこめなくなるので

余ったカロリーにより 
筋肉や肝臓などの他臓器に
異所性脂肪の蓄積が起きてくる

肥満のときの脂肪細胞の動態を説明する図

また
視床下部に慢性炎症が及ぶ
食欲コントロールができなくなり
肥満がさらに増強する


肥満では
こうした脂肪細胞の異常な活性化が起こり
病態が進展していくので
脂肪細胞を制御しなければならない

そのためには
食べる量でなく質を変えて
脂肪細胞を落ち着かせることが必要で

脂肪細胞がカロリーを貯めこまないように
再プログラムする


具体的には

*インスリンレベルを下げる

*慢性炎症を減らす

ことにより

脂肪細胞は鎮静化して
余剰カロリーを放出するようになる

体重のセットポイント値が下がり
自然に体重が減り始め 
リバウンドも起こらなくなる



代謝は改善し 空腹感が消え
自然に体重が落ちるので
飢餓感のないダイエットが
無理なく実践できる

脂肪細胞の鎮静化について書かれたページの写真

脂肪細胞を主役にした理論展開は
面白いですが

要するに
インスリンが上がらないような食生活が大切!
ということですね


そして
脂肪細胞を鎮静化させるためには
食物の質に気を配らなければならない論を展開します


<食物の「質」が重要>

@質の重要性

これまでの本でも
たびたび強調されてきましたが

カロリー量が同じでも
食物の内容・栄養価により
代謝に及ぼす影響は全く異なる

何を食べるかで
体内のホルモン 化学反応 遺伝子活動が
変化してくるので
カロリーの量より質が問題である


そして 
食事の質の違いは
諸臓器の異所性脂肪の分布にも影響する

たとえば
高脂肪のアーモンドを食べた人は
炭水化物のマフィンを食べた人より
腹部脂肪は減少する


@炭水化物

高度に加工した炭水化物は
カロリーだけでは説明できない悪影響を
代謝や体重に及ぼす

精製穀物 加工した砂糖
ジャガイモなどのでんぷんは
消化が早く 
インスリンレベルをすぐに上げ
脂肪にカロリーを貯めこませる

炭水化物が多い食事を摂ると
カロリーを減らしても
代謝が落ち 脂肪が増え筋肉が減る

インスリンが筋肉を減らして
カロリーを脂肪に貯めこんでしまうから

そして これらの食品の多くは
金科玉条の如く
「低脂肪」をアピールしていることが多い


逆に
炭水化物の少ない食事を摂ると
消費カロリー量は増えてくる

炭水化物摂取によるインスリンや飢餓感の変化を示すグラフ

@果糖

肝臓でのみ代謝され 過剰だと脂肪肝になる

果糖で問題となるのは
総摂取量でなく吸収率

さまざまな加工食品に含まれる
精製された果糖
吸収が早いので 急速に肝臓に押し寄せ
脂肪の生成につながる

一方 果物の果糖は
繊維などの影響でゆっくり吸収されるので
肝臓への負担は少ない

だから
果物を丸ごと食べるなら
それほど果糖について 心配しなくても良い


@肥満の蔓延の原因は 高度に加工した食品である

1970年代以降
脂肪の代わりに
高度に加工した炭水化物が急増し
それとともに肥満が増加した

加工食品を食べると
短時間で満足感が得られるけれど
側坐核などの報酬系が活性化され
加工炭水化物中毒になる

加工食品はおしなべて吸収が速いが
吸収が速いと中毒性も高く
大食いが導かれる

さまざまな種類の加工食品


このように
食物のカロリーは同じでも
その質により体への影響は大きく異なる


@脂肪とタンパク質はOK

脂肪量が多いと
インスリン分泌が抑えられ
脂肪細胞が鎮静化して 代謝が正常化する

脂肪を増やして
加工した炭水化物を減らせば
減量しなくても 肥満関連疾患は防げる


しかし
タンパク質 脂肪においても
その質には注意する必要がある

植物性タンパク質のアミノ酸は
動物性に比べて
インスリン分泌を刺激しない

飽和脂肪酸は
慢性炎症 インスリン抵抗性の
原因となり得て
脂肪細胞の働きも変化する

体脂肪 肝脂肪も増え
代謝率が落ち
運動しなくなり 怒りっぽくなる


したがって
飽和脂肪と加工した炭水化物は
最も危険な組合せである


ということで結論としては
再度 これもお馴染みになりますが

炭水化物はいらない

ということになります


そして
太る食物は
じゃがいも 砂糖入り飲料 精製穀物

精製した白米 精製した食パンの写真

砂糖入り飲料の写真

太らない食物は
ナッツ 成分無調整牛乳 チーズ

ナッツの写真
チーズの写真


が代表的ということになります


これだけ繰り返されると
かなり頭が馴染んできましたね?(笑)

高橋医院