「本当は健康寿命が短い日本人の体質」

本当は健康寿命が短い日本人の体質の表紙

オリゴ糖 ヒトケミカルなどの
研究をされている寺尾啓二さんが
2017年に書かれました

この本では 
日本人の脂質摂取と肥満遺伝子に 
フォーカスがあてられています


<日本人は 脂質による健康被害を受けやすい>

日本人は 
コレステロールの吸収率が20%も高く
代謝が低く 脂肪の燃焼効率も低い

また 
脂肪を脂肪細胞に蓄積させる能力が低いので
血中の中性脂肪が増え 
動脈硬化を起こしやすく

中性脂肪が上昇したときの
心血管イベント発症のリスクが
欧米人より高い

日本人は中性脂肪が上昇したときの心血管イベント発症のリスクが欧米人より高いことを示すグラフ

したがって

日本人は脂質の過剰摂取による
健康被害を受けやすいので
欧米人と同じように 
たらふく肉を食べていては危険警鐘を鳴らされます


欧米のダイエット本では
脂質の摂取は全く気にしなくて良い
というスタンスでしたが

体質が異なる日本人は注意が必要

という意見は
奥田先生の本にも書かれていました


<日本人には 太りやすい肥満遺伝子変異がある>

以前に説明しましたが
日本人は次のような
肥満遺伝子の変異を有しています

日本人の肥満遺伝子の特徴を示す表

@β3アドレナリン受容体遺伝子 倹約遺伝子

*日本人の30%が変異を有する

*アドレナリンが分泌されても
 体脂肪を分解させにくい

*内臓脂肪が貯まりやすく やせにくい

インスリン分泌が低い

*糖質が中性脂肪に変換されて
 肝臓や内臓脂肪に貯まりやすい

*基礎代謝が200kcal低い


@UCP-1遺伝子

*日本人の35%が変異を有する

脂肪代謝が低く 皮下脂肪がつきやすい

*基礎代謝が100kcal低い


@β2アドレナリン受容体遺伝子

*日本人の20%が変異を有する

筋肉がつきにくく エネルギー代謝が低く
 太るとやせにくい

*基礎代謝が200kcal低い


こうしたことからも
日本人は太りやすいので
注意が必要と喚起を促しています



さて 最後の本になりますが

「医者が教える日本人に効く食事術」
 
医者が教える日本人に効く食事術の表紙

トータル栄養アプローチをされている
溝口徹さんが2018に書かれました


<日本人は太りやすい>

日本人は 上述したような
内臓脂肪をためやすい遺伝子変異を有しているので
欧米人より太りやすい

糖質を溜めこみやすく
少しの糖質でも脂肪として溜めこんで
太りやすい


また 
エネルギーを消費する褐色脂肪が少なく
溜めこむ白色脂肪が多いので 
基礎代謝が効率よく上がらないので
余計に太りやすい


UCP-1
褐色脂肪細胞に熱産生を起こさせ 
脂肪の燃焼に貢献するが

魚に多い不飽和脂肪酸のEPA DHA
海藻のフコキサンチンは
UCP-1の発現を向上させるので
魚や海藻をたくさん食べた方が良い

EPA DHAなどがUCP-1の発現を向上させることを示す図

日本では魚の摂取量が
どんどん減少しているので注意が必要

といった注意喚起がなされています



<日本人の体質を考えたダイエット>

日本人が書かれたダイエット本についてまとめると
いずれの著者も

日本人は体質的にも遺伝的にも
太りやすいので
欧米人と同じような食生活をしていては危険

と注意を促されています


日本人の体質にあった食事による
ダイエットが必要で

*欧米ではOKとされている
 肉や脂肪の摂取は
 過度にならないように注意する

*昔から日本人が食べていた
 魚 大豆 海藻などを
 よりたくさん食べるようにする

といったことがポイントになると思われます

外国で言われていることを
鵜呑みにしてはいけない

特に脂質の摂取については
過度にならないようにするとともに
その質についても気をつけるべきでしょう



ということで
ほぼ2ヶ月にわたり
外国人が書いたダイエット本
日本人が書いたダイエット本
を それぞれ網羅的に紹介してきました

おかげで
ダイエットに関する最新コンセプトを
イメージできるようになりました

日々の診療で 悩める患者さんたちに
得た知識を還元していこうと思います!


高橋医院