これまで紹介してきた
日本酒と世界との関わり
書き手がいちばん面白いと思った話題を
このシリーズの最後にご紹介します

今日の主役は
フランス人のリシャール・ジェフロアさん

このお名前を聞いて オッ! と思われた方は
かなりのお酒好きですね!(笑)

ドンペリ醸造所の前に立つリシャール・ジェフロアさん

ジェフロアさんは
最高級シャンパンと呼ばれる
ドン・ペリニヨンの最高醸造責任者を
30年間も続けてこられた方です

ちなみに書き手は 
ドンペリはコスパが悪いと思っています
大変申し訳ありません!(苦笑)


で ジェフロアさんは
ドンペリのPRで何度も来日されて 日本酒の虜になられました

日本酒は 香りが力強い
ポイントは旨味で あらゆる料理を引き立てられる
と語られます

また 日本酒の原料であるお米が
ワインの原料のブドウに負けず劣らず
世界中で栽培されていることにも
心を動かされたそうです

そしてなんと3年前から
富山の立山町で日本酒造りに挑んでおられるそうです

立山町で日本酒造りに挑むジェフロアさん

びっくり!


ジェフロアさんは
「ドンペリで得た全ての経験を日本酒作りに捧げる」
と言われます

あ 別に瓶内二次発酵させたスパークリングSAKEを
醸造するわけではありませんよ(笑)


ジェフロアさんの全ての経験とは
アッサンブラージュの技

シャンパーニュは
黒ブドウ 白ブドウから出来た何種類かのワインを
アッサンブラージュ・混ぜ合わせて造ります

アッサンブラージュしている様子

アッサンブラージュにより
味 香りの異なるものを混ぜ合わせて
対立させたり 補わせたりして
新しい調和のある複雑な味わいをもたらすのです

シャンパンにおけるアッサンブラージュの重要性を示す図

この技を用いて 新たな日本酒を造られるとのこと!

また ビックリ!!!(笑)


まず 色々な米 酵母を用いて
ブレンド用の日本酒を数十種類作ります

ワイン酵母を用いたものは
香りが華やかで酸が口内に広がるそうで
これまで使ったことがない米 酵母 技術を用い
新しいタイプの日本酒がどんどん出てくる可能性があると
ジェフロアさんのパートナーの桝田さんは語られます

語るパートナーの桝田さん

そして15種類のブレンド用日本酒を厳選し
それぞれの香り 味を覚え
組合せを考え アッサンブラージュしていきます

アッサンブラージュするジェフロアさん

酒米は山田錦 雄町 五百万石 の3種類
酵母は5種類のものを
使われたそうです

アッサンブラージュするジェフロアさん・その2
アッサンブラージュするジェフロアさん・その3

ベースとなるのは 生酛造りで作った日本酒で
そこにブレンドを試行錯誤します

ほう ベースは生酛造りですか!
生酛好きの書き手は とても親近感を覚えます

日本の蔵元で行われている生酛造りの様子

どうして生酛なのか?

日本人は日本酒に
瞬間のキレの良さを求めてきたけれど
ワインは 味や香りがどれだけ余韻が長く
料理とマリアージュするか重視する

自然の乳酸菌がコクを出す生酛造りには
そんな余韻を長くて特徴があると 
ジェフロアさんは分析されます


ジェフロアさんが目指すのは
これまでの日本酒のアイデンティティを尊重しながら
何か新しさがある日本酒

飲んだ瞬間に
まろやかさ 空飛ぶ絨毯のようなフワフワとする浮遊感
得られるお酒にしたい

フワフワとする浮遊感を身体で示すジェフロアさん

これまでの日本酒は
飲んでしばらくすると 味や香りが徐々に弱まるけれど

逆に 
時間の経過とともに 味や香りがどんどん強くなり
ふくらみを増す日本酒を造りたい

力強さを身体で示すジェフロアさん
力強さを身体で示すジェフロアさん・その2


そして 半年間かけて試行錯誤して配合が決まりました

ブレンドの配合は秘密です(笑)

ブレンドの配合は秘密と語るジェフロアさん


立山の田園風景のなかに 
旧知の友人の隅研吾さんの設計による

ジェフロアさんと隅さん width=

新しい酒蔵が建造されました

新しい酒蔵

立山のテロワールを追求し 世界に広げていきたい
立山が世界の中心になる

ジェフロアさんは夢を語られます

夢を語るジェフロアさん

良いですね!

立山の酒蔵にも行ってみたいし
何よりアッサンブラージュされて出来た
新しい日本酒を味わってみたいです

できたお酒のボトル


番組では最後に
スイーツ界の巨匠のピエール・エルメさんも登場し
酒粕を用いて造ったマカロンが紹介されます

マカロンを食べるエルメさんとジェフロアさん

エルメさんも
このマカロンを日本酒の良さを世界の人々にいざなう扉にしたい
と語られ

ジェフロアさんとふたりで
日本酒をワインのように
世界の人々に知ってもらわないといけないと
強く訴えられました

フランスのグルメ界の大巨匠のおふたりの
強い日本酒への思い入れには びっくりします


クローズアップ現代では
ソムリエの田崎真也さんが登場して総括されます

総括する田崎さん

これまでの日本人の日本酒の飲み方は
食事に合わせるというより
日本酒を飲みながら適度に酔って 心地よくなってという
コミュニケーションツールだった

しかし今は 食中酒としての日本酒が 世界で認められつつある

食中酒は 
食事をよりおいしくするために
最後に口の中で調和できるソースのようなもので
日本酒は 和食だけでなく
フランス料理にもイタリア料理にも合う


そうしたメリットが世界で認識され
SAKEが認知されて
今度は 海外からSAKEが日本に戻ってきた時に
日本人が改めて 日本食と日本酒のペアリングについて
何か新しいことを気付かせてもらえるかもしれない

日本の食文化も
SAKEが海外から逆輸入されることで
変わってくる可能性がある


なるほど~ とても興味深かったです
世界各地で造られたSAKEを楽しんでみたいです!


さて 今年のブログは 今日でおしまいです

新型コロナで てんてこ舞いの1年になりましたが
書き手も久し振りに色々と勉強して
読み手の皆さんに情報を提供しようと頑張りました

コロナ関連ブログは
一部の患者さんたちからは
ご好評をいただけたようで嬉しいかぎりで
来年も頑張って情報発信していこうと思います

読み手の皆さんも 良いお年をお迎えください

 

高橋医院