約1か月にわたり 
酸化ストレスに関する説明を
行ってきました

活性酸素フリーラジカル

生体にとって避けがたい不条理のように

生命活動に必須の
ミトコンドリアでのエネルギー(ATP)産生過程で
発生してしまうこと

ミトコンドリアがATPだけでなく活性酸素も産生することを示す図


核酸 タンパク質などを痛めつけて

遺伝情報の保持 伝達の障害や
酵素などのタンパク質の機能低下を
引き起こし
病気の発症や進展に関与すること

活性酸素が核酸やタンパク質を傷害して病気を引き起こすことを示した図

生体膜の不飽和脂肪酸が
酸化されると
脂質過酸化反応が連続して起こり

その反応により生じた物質が 
さらに酸化ストレスを誘導するという
悪循環が形成されてしまうこと


高血糖になると 
タンパク質や脂質を糖化し
そこに酸化もからんできて
厄介なことになること


生体内には 
活性酸素やフリーラジカルの
発生を防いだり

それらを消去する
抗酸化ストレス機構が存在し

それらの働きにより 
生体内では
過度の酸化ストレス傷害は
起きていないこと

抗酸化ストレス機構の一翼を担う
抗酸化物質
食物に含まれることが多いこと


活性酸素とその防御システムをまとめた図

活性酸素と抗酸化システムの
バランスが崩れてしまうと
酸化ストレスが生じて 
そのデメリットが前面に出てきてしまうこと

活性酸素と防御システムのバランスの乱れにより病気が起こることを示した図

活性酸素やフリーラジカルは 
単に生体高分子を傷つけるだけでなく
細胞の機能を制御する
シグナル伝達分子としても機能していて
その異常は病態形成にも関わること

などを説明してきました

さて 当院には
糖尿病 脂肪肝 脂質異常症 
高尿酸血症 高血圧などの
生活習慣病で通院されている患者さんが
多いのですが

それらの病気の病態に
酸化ストレスが関わることも
明らかになっています


動脈硬化 肥満などの生活習慣病の原因に酸化ストレスが関与していることを示した図


しかし 前回お話ししたように
体内の酸化ストレス状況や
抗酸化システムの状況を
保険診療の血液検査で
評価することは困難です


では 日々の診療に
酸化ストレス 抗酸化システムの知識を
どのように生かしていけばよいのでしょう?

月並みな結論で恐縮ですが

日々の食事に気をつけて
バランスのよい食材を摂ること

適度な有酸素運動を定期的に行い
体内の抗酸化システムを活性化すること

そして
抗酸化サプリの効果を過信しないこと

活性酸素には
低い濃度ならば体に有用な作用も
あるわけですから

過度に抗酸化サプリを服用して
必要以上に活性酸素を抑え込んでしまうことは
危険かもしれません


毎回 同じようなオチで耳にタコかと思いますが

生活習慣病の対策としては
食事や運動に関する
日々の地道な努力に勝るものはありません

患者さんの皆さんは
頑張って地道な努力を継続してください!
高橋医院