錆びと焦げ
老化には 錆び と 焦げ も関与します <錆び> 体の構成成分に錆びを起こさせるのは 以前解説した 酸化ストレスの原因となる活性酸素です 活性酸素の働きを抑える抗酸化酵素の量や活性は 加齢により低下しますし 酸化ストレスによって生じるDNA障害の 修復能が高い生物種ほど 最大寿命が長いことも明らかにされていますから 酸化ストレスが 老化に関与することは明らかです 特に 最も酸化活性が高く 消去する酵素が存在しないヒドロキシラジカルは DNA タンパク質 脂質といった 重要な生体構成成分と反応して 遺伝情報や機能を変化させてしまいます こうした変化の積み重ねが 老化につながると考えられています 自動車や機械製品は 経年変化により錆びてきますが ヒトの体でも似たようなことが起こり 老化していくようです <焦げ> 一方 錆びだけでなく 焦げも 老化に関与します 焦げの現象は タンパク質に糖が結合することにより生じ それによりタンパク質が劣化して 老化につながっていきます この タンパク質が焦げて劣化した状態を AGE・終末糖化産物と呼びます 高血糖状態では タンパク質と糖が体温で焦がされて 褐色の物質に変性します この過程は 糖化・メイラード反応と呼ばれ いちど起きると一方通行で 元には戻りません メイラード反応は 酵素を必要としない珍しい反応で 体温程度の温度で反応が進むことが特徴です 生体内には カルボキシメチルリジン ペントシジン クロスリン など数十種類のAGEがあります ちなみに 糖の種類により メイラード反応の起こりやすさが異なり フルクトース・果糖は グルコース・ブドウ糖より AGE化するスピードが 10倍速いとされています フルクトースは 果物などに含まれる糖分ですが 以前にご説明したように グルコースより脂肪に変換されやすく 内臓脂肪や脂肪肝の原因になりやすい さらにAGEにもなりやすいので なかなか厄介な糖といえます また ハンバーガー フライドポテトなどの ファストフードはAGEを多く含み それらを食べることによっても 体内にAGEが蓄積されます ファストフードが体に良くないと言われるのは こうした理由にも依るのです さて AGEが体内のあちこちに蓄積すると 老化が起こります 血管内皮に存在するタンパク質が焦げると 動脈硬化が起こりますし 皮膚や骨に多く存在するコラーゲンが焦げると 皮膚のたるみ・しわが起こり 骨粗鬆症も生じてきてしまいます こうした焦げが体内で生じていて 老化につながるなんて驚きです 錆びと焦げ なかなか厄介な問題です、、、
高橋医院