ヨウ素 マンガン モリブデン クロム
中央区・内科・高橋医院の
健康のための栄養学に関する情報
微量ミネラルの解説
いよいよ最終回です
<ヨウ素>
甲状腺ホルモンの材料で
甲状腺に70~80%存在します
血中に取り込まれたヨウ素は
過酸化水素と甲状腺ペルオキシダーゼの働きで
ヨウ素を3個結合したT3
4個結合したT4
になります
日本人の食生活では
海藻類などヨウ素が含まれる食品を
摂る機会が多くあるので
摂取不足になることはありません
逆に
海藻などを過剰に食べ続けた場合
甲状腺機能低下や甲状腺腫になることが
報告されています
実際 甲状腺機能異常がある患者さんが
ヨウ素摂取を制限するだけで
機能が改善することがあります
一方 ヨウ素が欠乏すると
ホルモンの合成が上手くいかず
甲状腺機能低下が起こります
妊娠中に欠乏すると
死産 流産 胎児の先天異常などのリスクがあるので
注意が必要です
<マンガン>
ミトコンドリアの多い組織に
ごく微量存在しています
@働き
抗酸化酵素の
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の構成成分として
抗酸化作用に関わります
骨代謝
糖や脂質の代謝関連酵素
にも含まれ
それらの機能発現に関わっています
@多く含まれる食物
豆類 穀類に多く含まれています
@欠乏症
不足すると
成長異常 平衡感覚異常 全身倦怠感
糖尿病(インスリンの合成能力が低下するため)
骨がもろくなる
といった症状が起こり得ますが
通常の食生活をしていれば
マンガンが不足することはありません
<モリブデン>
体重1 kgあたり約0.1 mg含まれていて
骨 皮膚 肝臓 腎臓などに存在しています
尿酸合成に関わる
キサンチンオキシダーゼ
アルコール代謝
アルデヒドの分解に関わる
アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)
などの酵素の構成成分で
尿酸 アルコールの代謝に関わっています
<クロム>
糖代謝に関与しています
細胞内で
クロモデュリンというタンパクに結合して活性化すると
クロモデュリンは
インスリン受容体に結合して
細胞内のインスリン刺激伝達を促進し
糖の取込みを促進します
したがって
クロムの欠乏は耐糖能低下を引き起します
亜鉛の
インスリンを助ける働きを紹介しましたが
クロムにも
インスリンの情報伝達を助ける働きがあり
こうした微量ミネラルと糖尿病との関連も
注目されています
また
コレステロール タンパク質の代謝にも関わっていて
クロム摂取によるLDLコレステロールの改善も
報告されています
マンガン モリブデン クロムは
健康な人が通常の食事をしていれば
欠乏症や過剰症はほとんど見られないとされています
高橋医院