動脈硬化の食事療法
今日は動脈硬化の食事について説明します <動脈硬化の一般的な食事療法> *摂取する総エネルギー量の制限 *各栄養素 食材別の制限 を行う必要があります @総エネルギー量 *摂取量の制限により適正体重を維持すると 動脈硬化性疾患を予防できます @脂質 *コレステロールの吸収率には個人差があり 肝臓で合成量調節もされているので コレステロール摂取量が血清脂質に及ぼす影響には 個人差があります *摂取総エネルギー量における 脂質エネルギー比率の制限(推奨は20~25%)で LDL-C値が改善でき 動脈硬化性疾患発症を抑制できる可能性があると 報告されています *飽和脂肪酸の制限と 他の種類の脂肪酸への置換が大切です *多価不飽和脂肪酸に置換すると 血清脂質が改善でき 冠動脈疾患の発症予防に有効です *一価不飽和脂肪酸への置換により 血清脂質が改善できます *こうしたことにより LDL-Cは低下しますが HDL-C 中性脂肪は変わりません *EPA DHA などの n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やすと 中性脂肪が低下して 冠動脈疾患の発症抑制が期待できます *n-6系多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やすと 血清脂質の改善が期待できますが 動脈硬化性疾患発症抑制は明らかでありません *トランス脂肪酸の摂取は避けた方が良く 抑制により冠動脈疾患発症が予防できます *極度な脂質制限は 脳内出血発症を増やす危険性があります *高LDL-C血症の患者さんでは コレステロール摂取を200mg/日未満 飽和脂肪酸7%未満 に減らすことにより LDL-C低下効果が期待でき 動脈硬化性疾患発症予防できる可能性があります *高LDL-C血症でない人でも コレステロール摂取量が増加すると LDL-C上昇のリスクがあります @野菜 *野菜の摂取は 冠動脈疾患 脳卒中リスクを低減させる可能性があります *特に緑黄色野菜の摂取は 脳卒中リスクを低減させる可能性があります @海藻 *動脈硬化性疾患発症を予防する可能性があります *ヨウ素が多いので 特に甲状腺疾患の方は 過剰摂取に注意する必要があります @果物 *冠動脈疾患 脳卒中リスクを低減させる可能性があり 柑橘系 糖質含有量の少ない果物の 適度な摂取が勧められます *グレープフルーツ キウイ ベリー類は 糖分が少なくお勧めです *血圧低下 LDL-C低下 中性脂肪低下 HDL-C増加が期待できます *過剰に摂取すると 血糖や中性脂肪が増加する可能性があるので 要注意です @大豆 大豆製品 *冠動脈疾患 脳卒中リスクを低減させる可能性があり 勧められます *LDL-C 血圧などへの影響は 研究により一致していないのが現状です @果糖を含む加工食品 *摂取量を減らすと エネルギーの過剰摂取を防げ 中性脂肪の低下が期待でき 動脈硬化性疾患が予防できる可能性があります *精製果糖液を多く含有する 清涼飲料水 乳飲料 氷菓 などは控えめに! *果糖の大量摂取は 肥満 中性脂肪増加 インスリン抵抗性の増悪を招きますが 動脈硬化性疾患に及ぼす影響は現在のところ不明です @日本食パターンの食事 *動脈硬化性疾患予防に推奨されます *肉の脂身 牛脂 ラード バターを控え 大豆 魚 野菜 海藻 きのこ 果物 未精製穀類などを多く摂ります *塩分過多になりがちなので 減塩が重要です <動脈硬化の危険因子となる疾患の食事療法> 各疾患とも 下記に示すような食事の注意が必要です @高LDL-C血症 *総エネルギー摂取量の管理 *飽和脂肪酸は摂取エネルギーの7%未満 コレステロールは1日200mg未満 に抑える *飽和脂肪酸は不飽和脂肪酸に置換する *トランス脂肪酸を減らす *肉の脂身 臓物 牛脂 ラード バター 乳類 卵などを控える *野菜 大豆 大豆製品を増やす @高中性脂肪血症 *炭水化物エネルギー比率を低めにする *アルコールの過剰摂取を制限する *果物 果糖含有加工食品の過剰摂取を控える *n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やす @高血圧 *減塩 *野菜 果物を積極的に摂る *肥満を解消し適正体重を維持する *過度のアルコール摂取を控える @糖尿病 *肥満の改善 *総エネルギー摂取量の制限 *3食きちんと食べて よく噛んで時間をかけて食べる *野菜を先に食べる *糖質を60%未満に制限する *食物繊維を多めに食べる *飽和脂肪酸は7% 多価不飽和脂肪酸は10%以内にする @メタボリックシンドローム *総エネルギー摂取量の適正化 *炭水化物は控えめに *タンパク質は充分に *GI値の低い炭水化物を摂る *運動療法の併用が効果的
高橋医院