ビタミンの働き 欠乏症・過剰症
中央区・内科・高橋医院の
健康のための栄養学に関する情報
体内でビタミンは
どのような働きをしているのでしょう?
<ビタミンの働き>
ビタミンの働きは多岐にわたります
@補酵素としての働き
代表的なのが
さまざまな生体反応における
補酵素としての働きです
三大栄養素の代謝反応などの
生体反応の多くは
酵素によって効率よく行われますが
酵素がその活性を発揮するためには
補酵素などの働きが必要不可欠で
ビタミンの多くは補酵素として機能します
補酵素としての働きで
特に重要なのは ビタミンB類 です
ビタミンB群は
B1 B2 B6 B12
パントテン酸 ナイアシン 葉酸 ビオチン
の8種類がありますが
食事から摂った三大栄養素を
ミトコンドリアのTCA回路で
エネルギーのATPに変換する反応で
ビタミンB群が
各所で補酵素として働いています
@抗酸化作用
ビタミンC
ビタミンE
カロチノイド(ビタミンAの前駆体)
には抗酸化作用があります
酸化作用は老化などに関与する
生体にとって有害な反応ですが
これらのビタミンは生体成分の酸化変性を防ぎます
*ビタミンCは 細胞外で働き
*ビタミンEは 細胞膜内で働き
膜での連鎖的脂質過酸化反応を阻止します
ビタミンEは
抗酸化反応により
酸化能を有するラジカルに変換されますが
ビタミンCにより
抗酸化作用を持つビタミンEに
再生されます
このように
ビタミンCとビタミンEは共同作業をしています
*カロチノイドは
活性酸素を効率よく消去し
細胞膜で生じるラジカルも補足します
@ビタミンによる遺伝子発現制御
ビタミンA Dは
ステロイドホルモンと同様の機構で
遺伝子発現を制御します
*ビタミンAのレチノイン酸は
核内受容体のRAR RXRと結合して
転写因子として機能します
発現を制御する標的遺伝子は
ビタミンAの機能・代謝に関連するもの
個体の発生・分化に関連するもの
細胞内情報伝達に関連するもの
など 多岐にわたっています
*ビタミンDは
核内受容体のVD受容体(VDR)と結合し
複合体を形成し
RXRと結合して
転写因子として機能します
標的遺伝子は
カルシウムの吸収 輸送に関連するもの
細胞膜のカルシウムポンプに関連するもの
などです
*ビタミンB6のピリドキサールリン酸は
ステロイドホルモン受容体の機能を低下させ
遺伝子発現を調節します
HNF-1 C/EBPなどの転写因子とも結合し
アルブミン遺伝子などの発現を抑制します
*ビタミンKのメナキオンは
骨芽細胞で
核内受容体SXR/PXRと結合し 遺伝子転写を制御し
この転写制御を介して 骨代謝の調節に関わっています
*ビタミンCは
コラーゲン遺伝子の転写活性化
mRNA安定化によるmRNA量増加を引き起こします
一方 ビタミンには
*摂取不足による欠乏症
*過剰摂取による過剰症
が起こることがあります
<欠乏症>
長期間にわたり ビタミン不足が続くと
欠乏症状が出現してきます
短期間だけビタミンが不足しても
深刻な病気になることは少ないのですが
それでもビタミンが不足すると
なんとなく身体がだるいとか
調子が悪いなどの体調不良が起こり得ます
特に
激しい運動をする人
喫煙習慣のある人
妊娠した女性などは
十分なビタミンの摂取に気をつける必要があります
ビタミン欠乏症に陥ると
ビタミンを補酵素として利用する酵素が関わる
代謝系の機能不全症状が現れてきます
<過剰症>
大量摂取によって
過剰症がおこるビタミンについては
上限量を守り大量摂取は控える必要があります
現在 1日の上限量が定められているのは
ビタミンA D E B6 ナイアシン 葉酸
の6種類です
この中で はっきり過剰症が認められるのは
ビタミンA D B6で
この3つに関しては
必ず上限量を守ることが大切です
特に過剰摂取に注意したいのは
ビタミンAとビタミンDで
ビタミンAでは
吐き気 頭痛 嘔吐などがおこり
ビタミンDでは
身体にカルシウムが沈殿し 尿毒症がおこります
一方 ビタミンEは
大量摂取しても大きな身体の不調はありません
ビタミンB6は
神経系に障害がおこる可能性があり
ナイアシンは
消化器系に影響がありますが
問題になったことはあまりありません
葉酸は
普段の食事で大量摂取することはないので
過剰摂取のリスクも少ないと言えます
高橋医院