鉄 銅
中央区・内科・高橋医院の
健康のための栄養学に関する情報
代表的な微量ミネラルの
鉄 銅について解説します
<鉄>
@70%は機能鉄として
赤血球のヘモグロビンを作ります
体内に3~4g存在し
70%は機能鉄として
酸素を全身に配る赤血球の
ヘモグロビンを構成します
貧血のなかで
いちばん多いのが鉄欠乏性貧血で
鉄が不足すると
無力感や食欲不振などの自覚症状が起こります
@30%は 貯蔵鉄・フェリチンとして存在します
肝臓で
アポフェリチンというタンパクと結合して
貯蔵鉄のフェリチンとして
約1000mg貯蔵されています
フェリチンは
血中の鉄が不足したときに
不足を補うために動員されます
鉄剤を用いて
鉄欠乏性貧血の治療を行う際には
このフェリチンが充分に備蓄されるまで
治療を継続する必要があります
@運搬役・トランスフェリン
血液中で鉄が輸送される際は
トランスフェリンという鉄輸送タンパクが
キャリアとして働きます
鉄が不足した状態では
空のトランスフェリンが増えて
その量は
不飽和鉄結合能(UIBC)
として表される
鉄欠乏性貧血の重症度指標のひとつになります
@鉄の体内での代謝サイクル
赤血球は約120日で壊されて
その中の鉄は
骨髄で再びヘモグロビン合成に使われたり
肝臓にフェリチンとして貯蔵されます
@その他の機能
*SODなどの抗酸化酵素の構成成分として
抗酸化反応に関与します
*電子伝達系でATP産生を促進します
ミトコンドリアでの
電子伝達系の最終段階で働く
チトクロムc酸化酵素の補因子で
やはり補因子として働く銅とともに
運ばれてきた電子と酸素を結合させて
電子伝達系を終了し
エネルギーのATP産生を進めます
@ヘム鉄と非ヘム鉄
鉄には
ヘム鉄 と 非ヘム鉄
の2種類があります
*ヘム鉄
赤血球中のヘモグロビン
筋肉中のミオグロビン
に含まれる
鉄とポルフィリンの錯体で
動物性食品のレバー 肉 魚類に多く含まれ
吸収率は20~30%です
*非ヘム鉄
卵 野菜 海藻類に含まれ
吸収率は2~3%以下と低いのが特徴です
したがって
食事からの鉄摂取が不足しないようにするには
植物性食品ばかりに
偏らないようにすることが大事です
また 非ヘム鉄の吸収は
ビタミンC クエン酸 乳酸 動物性タンパク
により促進され
緑茶などに含まれるタンニン
不溶性食物繊維 玄米などに含まれるフィチン酸により
阻害されます
鉄剤を服用する際に
お茶を飲まないように注意されるのは
そうした理由によります
@活性酸素の産生源にもなる負の面もあります
鉄は過酸化水素と反応して(フェントン反応)
強力な活性酸素のヒドロキシラジカルを産生します
このため細胞内で
酸化反応により機能分子に
ダメージを与えてしまうリスクもあります
いわば両刃の剣的な存在で
実際に鉄が過剰になり臓器に蓄積すると
肝障害などのさまざまな病気が
引き起こされます
<銅>
@体内動態
鉄や亜鉛に比べると
体内存在量は80mgと非常に少なく
肝臓でセルロプラスミンというタンパクと結合し
筋肉や骨に運ばれます
@機能
*種々の酵素の構成成分として
さまざまな生体機能の発現に関わります
*鉄のヘルプ役
鉄の吸収 貯蔵の際に働くほか
骨髄でヘモグロビンを産生する際にも
貢献します
そのため 銅が欠乏すると
貧血や成長障害などが起こることがあります
*チトクロムc酸化酵素の補因子
上述した鉄と同様に
電子伝達系の最終段階で働く
チトクロムc酸化酵素の補因子で
やはり補因子として働くヘム鉄とともに
運ばれてきた電子と酸素を結合させ
電子伝達系を終了して
エネルギーのATP産生反応を進めます
*抗酸化酵素SODの構成成分で
抗酸化作用に関与します
*神経伝達物質・ドーパミンの代謝にも関与します
@多く含まれる食品
ナッツ ココア 大豆 レバー 牡蠣などに
多く含まれます
@欠乏症
通常の食事をしていれば
不足することはありません
@過剰症
肝臓に銅が蓄積してしまう
先天性の病気のウイルソン病では
肝硬変 発育不全 黄疸などが起こります
高橋医院