コレステロールは悪者?
LDL-Cが高いといけない HDL-Cが低いといけない というお話を始めましたが ここでコレステロールについて 復習しましょう LDLもHDLも コレステロールは水に溶けませんが リポタンパク質という輸送体により 血流を介して運ばれていることは 既に説明しました LDLは 肝臓で作られたコレステロールを 全身の臓器に輸送しますし HDLは 過剰なコレステロールを 全身の臓器から回収して肝臓に運びます では どうしてヒトはLDLやHDLを使って 体内でコレステロールを 運搬しているのでしょう? <コレステロールは細胞膜やホルモンの原料として重要!> それは コレステロールが ヒトの体の機能を維持するために必要だからです これも既に説明したので 復習になりますが コレステロールは 中性脂肪などの他の脂質と異なり エネルギー源にはなりません しかし コレステロールには重要な働きがあります コレステロールは @細胞の膜の材料となり @ホルモン 胆汁酸 ビタミンDなどの 原料となります <コレステロールから作られるもの> @細胞膜 ヒトの体は 何十兆という数の細胞から出来ていますが その細胞ひとつひとつは 細胞膜で内部と外部を隔てています 細胞の内部には 核 ミトコンドリア リボゾーム 小胞体といった さまざまな細胞内小器官が存在し 遺伝子を複製したり エネルギー代謝を行ったり タンパク質合成や品質管理といった 生命活動に必須の働きをしていますが 細胞膜は そうした細胞内小器官を 外部から守るために必須ですし 外からの情報を細胞内に伝達したり 必要な物質を取り込んだりする働きも 細胞膜が行っています そして そんな大切な働きをしている細胞膜の形成には コレステロールが必須です コレステロールがなければ 細胞膜はできないし 細胞膜ができなければ 生命活動が行えません @ホルモン コレステロールから作られるホルモンは *副腎皮質ホルモン (糖質コルチコイド:コルチゾール 鉱質コルチコイド:アルドステロン) *性ホルモン (テストステロン エストロゲン プロゲステロン) など 体の働きにとって欠かせないものですし @胆汁酸 食物に含まれる脂質を 消化吸収するのに必須のもので 既にご紹介したように 最近は ホルモンのような働きをして 脂質 糖質代謝や肥満に影響を及ぼすことが 注目されています @ビタミンD ビタミンDは 骨を強くするために必要なものです 過度な紫外線プロテクトは良くありませんよ という話題でご紹介したので 覚えておられる方もいることでしょう このように コレステロールは体にとって必須のものなので 日々休むことなく 肝臓で作られていますし LDLにより体内のすみずみにまで運ばれ HDLにより回収されているのです コレステロールというと 悪者のイメージがありますが コレステロールは 体にとって必要で重要なものであることも 忘れないでください
高橋医院