果糖中毒」の筆者は次に 
これまで勧められてきたダイエット法の
過ちを指摘します


<カロリー神話は間違っている>

これまでのダイエット法では
「摂取カロリーが
 消費カロリーを上回るので太る」
とされ

「摂取カロリーが消費カロリーを上回るので太る」という説の説明図


摂取カロリーを減らすために
食事のカロリー制限が

消費カロリーを増やすために
運動の奨励が
なされてきました

しかし 
カロリーを減らしても 
運動しても
脂肪は減らず 体重も減らないことが
明らかにされています

最初は減量できても 
しばらくすると減らなくなるのです

これは

*カロリー神話の理論的根拠である
「どの食物を摂ろうが 
 カロリーは同じ働きをする」
 という金科玉条は間違っている

*消費カロリー量は
 生体のホメオスタシスにより
 規定されているので
 生体反応としてのリバウンドが起こり 
 減量が続かなくなる

というふたつの理由によるものです

カロリー神話の間違いが書かれている目次


筆者は
「カロリーの量でなく 栄養素の質が問題」
と説きます

栄養素の違いにより 
同じカロリーでも
体内での働きが異なるのです

例えば
脂質には カロリーが同じでも
抗炎症作用を持つタイプ  
脂肪肝や動脈硬化を促進するタイプ
があり

糖質は脂質よりも
単位重量当たりのカロリーは少ないけれど
体内に脂肪を蓄積させる作用は脂肪より多く
特に 
悪玉の親分である果糖は
例外なく脂質として蓄積されます

このように
同じカロリーでも 栄養素の違いにより
体内での代謝や
脂肪蓄積への影響が異なるわけで

カロリー量にこだわるのは間違いで
栄養素の質に注目しなければならない 
と解説します

栄養素の質の重要性を解説する図


次に どうして肥満になるか 
そのメカニズムについて解説します

<脳が太らせる インスリンとレプチン>

肥満は 
脳内で起きた生化学的反応の結果であり

その生化学反応には
インスリン レプチン 
の2種類のホルモンが主に関与します

脳が太らせることが書かれている目次

インスリン

血糖値が上昇すると
膵臓から分泌され
血糖値を調節するホルモンですが

細胞に糖を取り込ませ 
それを脂肪に変換して蓄積させる作用により
肥満の根本的原因として働きます

インスリンによる脂肪蓄積を解説する図

レプチン

脂肪細胞が分泌する
アディポカインの1種ですが

視床下部の満腹中枢に作用して
満腹感を感じさせて
食欲を抑制する作用があります

レプチンの食欲抑制作用を解説する図

脂肪が充分に蓄積している
すなわちエネルギー貯蔵が充分な状態だと
たっぷりの脂肪から
多くのレプチンが分泌され脳に働きかけ
長期間にわたり食事摂取量を減らし
体重を一定に保つように指示します

しかし肥満になると 
レプチン抵抗性という
レプチンが充分にあっても
その作用が発揮されない状態に陥ります

レプチンが働かないので
食欲が抑制されず
長きにわたり過食してしまいます

レプチン抵抗性について説明する図

どうして
レプチン抵抗性が起こるかというと
インスリンが視床下部で
レプチンシグナルを遮断するからです

インスリンとレプチンは
同じ細胞内シグナル伝達系を使うので
競合してしまうのです

インスリン レプチンの細胞内シグナル伝達系について解説した図


@インスリンは二重に悪さをしている

インスリンは
脂肪細胞に脂肪に貯めさせて
脂肪量を増やすだけでなく

脳ではレプチン抵抗性を誘導して
食欲を増強させて
暴食や肥満が誘導される原因にも
なっているのです

インスリンは二重に悪さをしていることを示す図

30年前に比べると
インスリン分泌量は
2倍に増えているとされています

インスリン分泌量が増えたのは
肥満によりインスリン抵抗性という
レプチン抵抗性に似た状態
インスリンの作用が発揮されない状況が
起こるからです




インスリン抵抗性の誘導には
脂肪組織の慢性炎症が関与しています

脂肪蓄積と慢性炎症の関連については
既に解説しましたので
興味がある方はお読みください







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