果糖中毒3:脳と脂肪細胞がヒトを太らせる
「果糖中毒」では 脳内で起こっている 肥満を誘導する化学反応について 解説が続きます <報酬系と依存性により食欲が増す> 肥満した人が際限なく食べたくなるのは *食べると幸せになり(=報酬系が働く) *また食べたくなる(=依存性が働く) からです 糖分や脂肪を摂取すると 脳内で幸せを感じさせる ドーパミンやエンドルフィンが分泌され 脳が報酬と解釈するので 依存性ができて食べ過ぎてしまうのです 報酬系やドーパミンについては 食欲の解説のときに説明しましたので 参照してください レプチンは ドーパミン分泌を抑制して 報酬系が働くのを抑制しますが 肥満によるレプチン抵抗性では 報酬系が作用し続けるので 食べ続けてしまい 暴食 暴飲が続くのです また糖質は 幸せ物質のセロトニンの輸送を助けて 短期間の快楽をもたらします 高濃度の脂質と糖質の組み合わせは それぞれ単独よりも依存性が高いことが 明らかにされています その代表的な組み合わせである ファストフードは 糖分 脂肪 塩分 カフェイン を豊富に含み 高度に加工されていて おいしく感じさせ まさに依存を誘導します <ストレスで太る理由> 人はストレスを受けると ドカ食いしてしまい 体内に脂肪蓄積が起こります 空腹でなくても 食物の摂取量が増え 脂肪蓄積の原因となる 糖分や脂肪を含んだ食物が 選択されます ストレスにより コルチゾールが分泌され それが長く続くと食欲が増し 内臓脂肪が増えるのです コルチゾールが上昇すると 血糖値が増加し インスリンが上昇するので 現代社会で見られる慢性的なストレスは 持続的なコルチゾール分泌と それによるインスリン抵抗性を誘導し 相乗効果でメタボを悪化させるのです このように 肥満の原因とされる暴食と怠惰は 上述した脳内の生化学反応の結果であって 意志とは関係ないと 筆者は強調します ついで筆者は 脂肪細胞について解説します <脂肪細胞を増やすモノは?> 脂肪細胞は エネルギー貯蔵庫で 飢餓への対応策として必須なものですが 肥満では 脂肪が過剰に蓄積するのが問題です ここで再び インスリンが登場します インスリンは 糖分を脂肪細胞に取り込ませ 脂肪細胞を成長させるので インスリンがなければ 脂肪蓄積は起きないのです その証拠に 高インスリンレベルは 肥満の原因の75~80%を占めると 言われています そして インスリン分泌量は 1975年の2倍に増えていて 現代社会の食環境は インスリンレベルを どんどん吊り上げています では どうしてインスリンが 増えるのでしょう? それこそが 肥満の原因になるわけですが *高度に精製された 白い炭水化物を食べる *ストレスホルモンの コルチゾールが上昇する ことが インスリン抵抗性を誘導して インスリン分泌量を増やしているのです ヒトの体では ひとたび脂肪細胞が増えたら なかなか減少しません 脂肪細胞はレプチンを分泌しますが レプチンは食欲を抑制するだけでなく 妊娠にも必須なので レプチンを産生する脂肪が減っては 困るのです ということで インスリン分泌を促す食物が 肥満の原因と考えられます いよいよ 果糖の問題に迫っていきます
高橋医院