果糖中毒

最後に筆者は
*現代の食環境の危険性
*脂肪悪玉説の誤り
について解説します

<脂質と炭水化物の同時摂取のリスク>

現代の食事では 
脂質と炭水化物を同時に摂取します

その究極は ドーナツバーガー?(笑)

ドーナツバーガーの写真

そもそも 人の体内では
脂質と炭水化物の代謝経路は 
別々に発達しました

私たちの祖先は 
住んでいた地域 季節などにより
脂質 炭水化物のいずれか(肉か野菜か)を
メインに摂っていたので
別々の代謝経路が発達したのです

両者はそれぞれ体内で変換されて
ミトコンドリアアセチルCoAとして到達します

脂質 糖質がそれぞれ代謝されてアセチルCoAになりミトコンドリアに入ることを示す図

しかし
ミトコンドリアが処理できる
アセチルCoAの量は
細胞の健康度に依存していて

過量のアセチルCoAは 
ミトコンドリアの処理能力を超えるので
オーバーフローとなり 
ミトコンドリア機能が破綻してしまいます

その結果 
大量の活性酸素が生じてしまい
体内にさまざまな悪影響が及ぼされます

ミトコンドリアの機能が低下すると活性酸素が大量に産生されることを示す図

このように 現代社会では
脂質と炭水化物を同時に摂るので
ミトコンドリアに大きな負担がかかり 
ダメージが生じて
肥満やメタボが生まれてくるのです


<脂肪悪玉説の誤り>

ここ数十年で
炭水化物が
多量に摂取されるようになったのは
脂肪悪玉説のせいです

1977年にアメリカで
今となっては悪名高き
マクガバンレポートが公表され
心血管疾患の原因は脂肪だ
という「脂肪悪玉説」が公に認められ

脂肪摂取を30%に 
飽和脂肪酸を10%に抑える指針が
発表されました

そして この指針により
食生活が大きく変わり始めました

脂肪の摂取を減らした分 
糖分の摂取が増えたのです

脂肪悪玉説を公表したマクガバンレポートの写真

その結果 
大量のインスリンが
分泌されるようになり
脂肪にエネルギーが溜めこまれ 
肥満が増え始めました


つまり 
この脂肪悪玉説は 間違っていたのです!

脂肪を減らしても肥満は減らず 
1977年以降 
むしろ増えてしまいました

1977年以降肥満が増加したことを示すグラフ


脂肪が
心筋梗塞などの心血管病の原因となる
という説も
間違いであることが明らかにされました

悪玉とされているLDL-C
大型低密度 小型高密度の
ふたつのタイプがあり

食事からの脂肪摂取で増えるのは 
大型低密度型で
血中LDL-Cの80%を占めますが

これは
良いことも悪いこともしていません

一方 小型高密度型sdLDL
血管壁に入り込み
動脈硬化プラーク形成に関わります

悪さをしているのは 
こちらのタイプのLDL-Cなのです

そして小型低密度型は
食事由来の脂質は関係なく 
炭水化物の摂取により増えるのです

悪さをしているのは 
脂肪ではなく
炭水化物だったのです

脂肪悪玉説が間違いだったことを示す図

こうして
かつては常識だった「脂肪悪玉説」が
むしろ肥満の原因であることが
明らかにされたのです

時代によって常識が変わる

哀しいかな これが現実です


<肥満の予防>

まとめとして筆者は 
肥満の予防について語ります

肥満予防の要点は

@食生活を見直す

*炭水化物 特に果糖の摂取を控える

*食物繊維を食べて
 肝臓のエネルギー代謝速度を遅らせる

*ビタミン ミネラルを食べて
 抗酸化力を高める


@運動して
 ミトコンドリアの数と能力を高める

となります


これまでのダイエット法は

*カロリー

*脂肪

の減少にばかり固執していたが
それは間違いである

たとえば
ひとくちに脂質といっても
健康に良いものもあれば
悪いものもある

脂肪の質の違いを示す図表

食物や栄養素の
「量」でなく
「質」に
注目することが大切だ

量より質が大切なことを示す図

ということが
筆者がいちばん訴えたかったこと
だと思います


高橋医院