肥満の食事・運動療法
減量治療の基本は 食事療法と運動療法です どちらか一方でなく 両方の併用により 減量効果はさらに上がりますので 食事療法も運動療法も 両方ともするように心掛けてください <食事療法> 食事療法のポイントは 量と質のコントロールです そして 特定の栄養素を制限するのではなく バランスのとれた低カロリーの食事に することが大切です @量:摂取エネルギーを制限する 肥満の原因となる 過剰なカロリーを摂取しないようにします 25kcal x 標準体重(Kg) が理想とする1日のカロリー摂取量で 高度肥満では 体重1Kgあたり20~25kcalになります どのような食事 食材に どれくらいカロリーがあるかを 知るのは面倒で そのため 1日にどれくらいのカロリーを摂取しているか 把握するのが大変かもしれません しかし最近は コンビニの食材 定食屋さんのメニューなどに カロリーが明記されていることが多いので それらをこまめにチェックする癖をつけることで ご自身の1日カロリー摂取量を 把握するように心掛けてください また 1日XXカロリーの食事メニュー といったものが 書籍やネット上で公開されていますから 自分の理想カロリーの食事内容が どのようなものか 実際の食べている食事と どれくらいかけ離れているかを 認識することが大切です @質:栄養素別の摂取量に注意する *糖質
既に解説したように 糖質制限は減量に有用なことが多いです 但し 長期的効果については 議論が分かれています 単純糖質(ブドウ糖 果糖)は 太りやすいので制限する必要があります 砂糖入り飲料の飲みすぎに注意してください *脂質
脂質異常症の患者さんでは 総エネルギーの20~25%に留めることが 勧められていますが 健康な方では それほど神経質になる必要はありません (もちろん 過剰摂取にはご注意ください!) 必脂肪酸を補うために 1日に20g以上は摂る必要があります また 脂質の内容にも気を配ってください 飽和脂肪酸の割合が7%を 超えないように注意すること なるべく不飽和脂肪酸を 多く摂るように心掛けてください そのためには 飽和脂肪酸 不飽和脂肪酸 それぞれが多く含まれる食材について 復習しておいてください *タンパク質不足に注意
減量時には 体内でエネルギーを得るために 筋肉などの体蛋白が分解されます そのために蛋白不足になるのを防ぐため 1日に1gx標準体重のタンパク質の摂取が必要です 特に 動物性タンパク(乳製品 卵を含む)を 多く摂るように心掛けてください 但し 総エネルギーの20%を超えないことが 望ましいとされています 筋肉が落ちないようにするためには タンパク質を摂るだけでなく 運動することも大切です *ビタミン ミネラル
体内での栄養素の代謝をスムーズにしたリ バランスを整えるために ビタミン ミネラルを 多目に摂取するように心掛けてください *食物繊維
多く摂るほど 体重減少効果は大きいとされています 1日に20g以上摂るようにしてください *アルコール
過度のアルコール摂取は肥満につながりますから 25g/日以下に制限してください <運動療法> @効果 食事療法による体重減少が3%未満でも 運動療法の併用により代謝指標が改善するので 糖尿病の予防効果が得られます 身体活動量の増加により 減量した体重を維持できます 筋肉の萎縮 脂肪筋への変化を防げることで 太りにくい体質を維持できます @有酸素運動 単独 あるいは食事療法との併用により 糖質 脂質 血圧が改善し 糖尿病の発症予防効果が得られます @無酸素運動 減量中に起こりやすい 骨格筋減少を抑制するとともに 糖質 脂質 血圧が改善されます 有酸素運動 無酸素運動の 両方を組合せて行うと より効果的です @日常生活での活動量を増やす 有酸素運動 無酸素運動のように 意識して行う運動だけでなく 仕事 通勤 家事労働などの 日常生活での活動量を増やすことも重要です 10分以上継続する 中等度の(3~6METs)生活活動の 励行が望ましい 早歩き 自転車通勤などを合わせて行うと より効果的です 座っている時間を減少させることも重要で それによりインスリン抵抗性が改善し 耐糖能が改善します @運動の頻度 週5日以上が望ましい とされています 運動量が充分であれば 週末のまとめた運動でも良いようです @運動の継続時間 1日に30~60分 週150~300分が望ましい 1日10分未満の 中等度以上の運動の積み重ねでも良い とされています 一番大切なことは 運動の継続 習慣化です そのためには 自分の生活パターンに合った 興味ある運動を見つけて それを生活習慣化して 継続して行ってください
高橋医院